『人生に乾杯!』

ドングリ

 街路樹のコナラの果実が樹下に大量に落ちて散らばっていた。
 ドングリである。小楢(こなら)は『大辞泉』によると、

 ブナ科の落葉高木。山野に自生する。葉は倒卵形で先がとがり、縁にぎざぎざがある。五月ごろ、新しい枝の下部に尾状の雄花、上部に雌花がつく。実は食べられる。材は器具・薪炭用。ほうそ。ははそ。ならしば。なら。

 蕪村の句に、「椎(しひ)拾ふ横河(よかは)の児(ちご)のいとま哉」。*1 
 20日、シネツイン本通りでガーボル・ロホニ監督の『人生に乾杯!』(2007年、ハンガリー、カラー、107分)を観た。
 年寄りの反骨精神が炸裂で痛快な快作。
 ハンガリー映画
 映画の途中で、冒頭に若い青年と娘が警察の家宅捜索を受けている現場で出会うエピソードの意味が分かった。イアリングを娘が青年に渡す。このシーンの意味が・・・。
 物語は、81歳と70歳の老夫婦、エミルとへディは年金暮らし、元共産党幹部の自動車運転手を勤め上げて年金暮らしに入っている。
 年金だけで食べていくのが厳しく、借金取りに追われている。
 ある日、家に来た借金取りに妻へディの大事にしていた思い出のイヤリングを、借金の形(かた)に取り上げられた。
 さあ、そこから夫エミルが妻の大事にしていたイヤリングを借金の形に取られた事態に立ち上がった。古い年代物のソビエト製の車チャイカを運転してエミルは動き出す。
 初めは夫エミルだけが、郵便局を皮切りにチャイカに一人乗って強盗に走り出す。
 途中から妻へディも加わっての逃避行。追う警官隊。『俺たちに明日はない』のボニーとクライドや『バニシング・ポイント』を思い起こさせる物語の展開だ。だが、アメリカン・ニューシネマのようには終わらない。
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*1:横河―比叡山三塔のひとつ。