映画『航空都市』

彼岸花

9月23日は二十四節気のひとつ秋分である。道端に彼岸花が咲いて目に鮮やかだ。 
 墓参のあと、午後から「ロシア・ソビエト映画特集」でアレクサンドル・ドヴジェンコ監督の『航空都市』(1935年、82分、白黒)を映像文化ライブラリーに観に出かけた。

 冒頭、雲の上を航空機が飛行しているシーンから始まる。
 複葉機で雲間を飛んで行く。かなり長い飛行機の飛ぶシーンだ。
 一転して、森林地帯の森の中を、ロシア人が6名、非ロシア人が2名のスパイが破壊工作で潜入中のナレーション。
 森の中で警戒中の銃を持った男が見つけ後を追いかける。
 追い詰めて銃撃戦でロシア人6名を倒す。
 だが、非ロシア人の2名は生き残って森の中を三日間も逃走したが、最後はそのうちの一人が追い詰められて、追ってきた男に銃で撃たれて倒れる。
 もう一人の逃走している男は、ロシア人の山小屋にかくまわれて生き延びる。
 その非ロシア人2名というのは二人とも日本人で、ダイナマイトでタイガ地帯の鉱山を爆破しようと、国境地帯へ潜入した日本人だというのだ。
 住民にかくまわれた日本人は住民を組織して、国家がシベリアの太平洋沿岸に建設しようとしている「航空都市」の建設を阻もうとしている、というナレーションが入る。
 その日本人とそれに同調する住民とによる国境防衛の拠点の建設、「航空都市」建設の妨害に対して闘う人々を称える物語であった。
 終わり近くなって、大型航空機の大編隊飛行や落下傘部隊の無数の降下部隊のパラシュートが大空に花開くシーン、海上では潜水艦の艦隊が航行するシーン、航空兵や水兵の大行進のシーンがあって太平洋沿岸に国境防衛のための「航空都市」を建設しよう、と高らかに歌い上げるのだった。