10月から12月まで上映の「日本映画スター・ベスト30」特集が28日まで。
今月は、野口博志監督の『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960年、日活)のあと、26日、篠田正浩監督の映画『心中天網島』(1969年、表現社、ATG、103分、白黒)を鑑賞。
出演が岩下志麻、中村吉右衛門、左時枝、日高澄子。太字はベスト30の俳優。
プログラムより引用。
近松門左衛門の浄瑠璃を、篠田正浩監督が思い切った様式美で現代によみがえらせた。抽象的なセットを背景に、紙屋治兵衛と遊女・小春(岩下志麻)の悲恋が描かれる。黒子が画面に登場し、2人を死へと導く重要な役割を果たしている。
冒頭、人形浄瑠璃の人形を動かす人が準備に追われている光景。
その光景にクレジットの文字が重なる。クレジットを見ていると、脚色に富岡多恵子、武満徹、篠田正浩。美術が粟津潔。音楽が武満徹である。撮影は成島東一郎。
冒頭に電話で話しているような声が聞こえる。
富岡多恵子と篠田正浩監督との打ち合わせの声だろうか。
この段階では、物語はまだ始まっていない。
ロケ地に錦帯橋や倉敷を使っている。
治兵衛の妻おさんも岩下志麻が一人二役で演じる。
治兵衛の兄・孫右衛門を滝田裕介、ほかに脇役で小松方正、加藤嘉。
人形浄瑠璃の人形と人が入れ替わって演じるという趣向で、画面の役者の隅に黒子が点在する。
芝居を観ているようでありながら映画であるという趣向である。
墓場での治兵衛(中村吉右衛門)と遊女・小春(岩下志麻)のシーンが印象的だった。