10月と11月の2ヵ月にわたる「カレル・ゼマン特集」の一本、カレル・ゼマンの『前世紀探検』(1955年、チェコ、93分、カラー)を観る。フィルムは35ミリ。
ボートに乗った4人の少年が、時間の川を遡りながら古代を冒険する。空には翼竜や始祖鳥が飛び回る中、彼らは様々な体験をする。恐竜映画史に残るSFトリック・フィルムの傑作。(特集パンフレットより)
冒頭、三葉虫の化石を見た年少の少年が、本物の三葉虫が見たいと駄々をこねる。
年長の三人の少年が年少の少年に本物を見せようと思い調べると、前世紀へと流れている川があることを知る。
四人の少年の乗ったボートで、洞穴のトンネルをくぐり抜けると、そこは前世紀の氷河時代だった。
岸辺にはマンモスがいる。驚く少年。寒さで焚き火をして暖をとり眠る。
翌日も川を漕いで進む。漕ぎすすめるにしたがって、中生代、古生代と風景と生物が変わってゆくのだった・・・。
中生代のジュラ紀から白亜紀にかけての恐竜ステゴサウルスと肉食恐竜ケラトサウルス(?)の格闘シーンや、巨大なプロントザウルスとボートの四人の少年が対面する場面も見所で、空を飛ぶ翼竜、始祖鳥、石炭紀の植物、水辺の両生類、巨大なトンボが空を飛んでいる。
水中の魚類、くねくねしたヘビの動きなど動く生物図鑑という趣である。
ラスト、海にたどり着いた一行は、海辺で本物の三葉虫を手にするのだった。
物語は、冒頭で一冊のノートに記された少年たちの見た冒険の記録からはじまり、締めくくりをそのノートで体験した前世紀の生物を見た記録のことを回想するナレーションで終わる。
特撮のSF映画で、恐竜の生きている姿をうまく再現している。
カレル・ゼマンの「前世紀探検」は、なんともワクワクドキドキする味わいのある傑作です。
プラハにあるカレル・ゼマン博物館で、「前世紀探検」の恐竜ステゴサウルスと肉食恐竜ケラトサウルス(?)の格闘シーンの撮影写真が展示されていて、参考になりました。
参照:「チェコの情報 チェコ・チェック!」http://d.hatena.ne.jp/Picmoch/20121116/1353049119