映画「モンタナ 最後のカウボーイ」

モンタナ 最後のカウボーイ

 「ハント・ザ・ワールド ハーバード大学 感覚民族誌ラボ傑作選」から『モンタナ 最後のカウボーイ』(2009年、アメリカ、101分、カラー、日本語字幕)を見ました。
 監督はイリーサ・バーバッシュ、ルーシャン・キャステーヌ=テイラーという人です。

 8月プログラムより引用すると、

 おびただしい羊の群れをひきつれたカウボーイたちが、放牧のためモンタナ州ベアトゥース山脈を縦走する。広大な緑の渓谷、雪に覆われた大地、忍びよるグリズリー、危険にみちた250キロの冒険。アメリカン・カウボーイの歴史の終焉にたちあった非感傷的なエレジー。製作者の強い希望で字幕を映画作家想田和弘が監修した。
 原題はSWEETGRASSとなっていますが、日本語のタイトルは「モンタナ 最後のカウボーイ」と付けられています。
 この作品は35ミリフィルムでの上映でした。
 
 原題はSWEETGRASSです。SWEETGRASSというタイトルは、羊の食べる新鮮でおいしい草を意味しているのかな。
 冒頭、羊の毛を刈る作業や羊の出産といった羊が収容された牧場の周辺での映像からはじまります。
 冬の草のない時期は、夏の間に集めていた干し草、ロール状に巻いている草なのですが、それを牧場の大地へ撒き散らしながら羊へ与えます。
 羊たちは干し草目指して殺到します。その食欲やすごいものです。
 さて、夏になると、ほんとうにおびただしい羊の群れを連れて、山と渓谷のある山岳地帯へ町から出発するのです。
 出発する町の道路が一面に羊の群れでぎっしりと埋められて道が見えなくなるほどの数の羊が進む光景には圧倒されます。
 この羊の群れ、集団をコントロールしながら山岳地帯へと向うのが、馬に乗ったカウボーイたちと牧羊犬で、カウボーイはテントや食料といった物資を背負わせた馬を何頭も引き連れていきます。
 宿泊は野営で山野にテントを張り、火をおこし炊事をします。
 夜には羊を狙う熊が出没し、散弾銃で追い払います。
 羊とともに川を渡ったり、険しい山を登ったり下ったり、夏でも残雪の残っている山岳地帯へ羊の大集団は移動していくのです。
 広々とした山野に大集団の羊が草を食(は)んでいる光景はほんとうに雄大なものです。
 まるまると羊が成長する頃には、カウボーイたちは再び羊の大集団を連れて町へと長い帰路をたどるのでした。
 再び、道路が羊で埋めつくされる光景は圧巻です。