サザンカ(山茶花)の花が満開である。遠くから見ると、葉に白い雪が積もったように見えた。根元は、散った花びらが白く一面に敷き詰められている。八重咲のサザンカ(山茶花)がちょうど見頃を迎えている。
亜紀書房の新刊、南伸坊著『私のイラストレーション史』を読む。
1960年から1980年までの著者自身のクロニクル(年代記)的な回顧録である。
もくじ
小6から中3まで1959――1962
工芸高校と浪人時代1964――1968
美学校時代1969――1970
『ガロ』編集者時代1972――1980
南伸坊さんが六〇年代と七〇年代に実感した目撃した私的な「日本のイラストレーション史」を書き留めている。
「工芸高校と浪人時代」で、南伸坊さんの高校二年生だった1966年に雑誌『話の特集』が創刊された。
一部引用してみると、
ボクらは高校二年生だった。
一九六六年、この年から横尾さんの怒濤(どとう)の進撃がはじまるのだったが、ボクが感じていたのは、この年こそが憧れの和田誠さんが、日本のイラストレーションの真のリーダーであったことがはっきりした年だということだった。
イラストレーションだけではない。グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、写真、雑誌文化のほんとのリーダーは和田誠だった。
すなわち『話の特集』の創刊である。私が生涯でもっとも心を動かされた創刊号だったと思う。アートディレクターにして、エディトリアルデザイナー、そして影の編集長、それが和田さんだったのだ。それは創刊号を手にとって、すぐにわかった。こんな形の雑誌を作れるのは和田さんしかいない!と高校生は確信していた。
のちに編集者になったことも、宮武外骨に興味を持ったことも、文章を書くようになったことも、イラストレーターになったこともすべてはこの『話の特集』にはじまっている。 71ページ