『海老坂武のかんたんフランス料理』を読む

f:id:kurisu2:20191127155339j:plain

 サザンカ山茶花)の白い花が咲きだした。咲き始めです。

ツバキ科の常緑小高木。九州・四国の山地に自生。葉は楕円形で両端がとがる。晩秋のころ白い花をつけ、散るときは花びらがばらばらに落ちる。種子から油をとり、材で器物を作る。園芸・観賞用としても栽培され、赤花・八重咲きなどの品種がある。  『大辞泉

 「山茶花の散りつづきたるそこらまで」

 松本たかしの俳句です。

 

 編集グループSUREの新刊本で、『海老坂武のかんたんフランス料理』を読んでいます。

 《ふとした集まりがきっかけとなって、このような本を出す破目になった。》と「あとがき」にあるように、この本はフランス料理のレシピ集であり、もうひとつ、自宅の台所で料理をつくり、出来上がった料理を食べながらの黒川創さんらによる質問に海老坂武さんが答えるというライブ感あふれる談話を構成した本の作りになっています。読者は海老坂さんと共に料理と食事をしている風な読書感を持つでしょう。

 料理のレシピは、「本書の利用にあたって」の説明にあるように、お客さまを迎えておもてなしする際のパーティレシピです。

 タイのソース・ブランをメインにした献立

 ポテをメインにした献立

 タラのベシャメルソース・グラタンをメインにした献立

 牛頬肉の赤ワイン煮込みをメインにした献立

 

 かんたんフランス料理の実用書でありますが、それぞれの献立の料理の際の談話が興味を持って読める構成になっています。

 目次の「おはなし」から引用すると、

 「ぼくの料理の歴史をお話ししますよ」

 留学生として「フランス料理」を初めて食べたころ

 サルトルって、どういう人か

 八〇代でも、体を鍛えることが好き

 野球少年としてジョー・ディマジオに会ったころ

 以上、興味のおもむくまま海老坂武さんの「おはなし」が聞けます。

 

 一部引用すると、

 料理は手順がいちばん大事

黒川 海老坂さんは、作家の山田稔さんとは、パリでの留学時代は全然重ならないんですか?

海老坂 山田稔さんは、ぼくより三つ、四つ年上でしょう? 留学時代は重なってないね。京都で二、三度会ったかな。  27~28ページ

www.groupsure.net

流れゆく紅葉も見ゆれ月の淵

f:id:kurisu2:20191123154822j:plain


 小春日和で暖かい。最高気温22℃。朝晩は冷え込む。最低気温9℃。

 茶畑に茶の花が咲いていた。白い花びらが五枚で丸みがあり、葉につやがある。

ツバキ科の常緑低木。暖地に自生。葉は長楕円形で厚みがある。秋、白い五弁花を開く。原産地は中国の四川・雲南・貴州などの霧の多い山岳地方。若葉を緑茶などとするため広く栽培され、延暦二四年(八〇五)に最澄が中国から種子を持ち帰り栽培したのが始まりという。日本では五月ごろから八、九月ごろまで三、四回摘む。ちゃのき。めざましぐさ。  『大辞泉

 「嶺の雪に月照りそめぬ夕紅葉」

 「淵に降る紅葉も見ゆる月夜かな」

 「流れゆく紅葉も見ゆれ月の淵」

 松本たかしの昭和十二年(1937年)の十一月の俳句で、「十五日水上温泉」の前書きがある。

映画は「寄り道」が楽しい

 晴れた空の下、北風が強い。最高気温は14℃。最低気温が9℃。

 オレンジ色の花が風に吹かれてゆれていた。キバナコスモス(黄花コスモス)の花で鮮やかだ。コスモスに似ている。四〇から六〇センチの高さがある。

f:id:kurisu2:20191120154710j:plain

 雑誌「望星」12月号に、「平川克美責任編集——映画について私が語ること」という特集記事を目にした。対談の立ち読みコーナーがあるので、一部が読める。

 映画は「寄り道」が楽しい(川本三郎

 忘れられない映画たち(関川夏央) 

http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/pdf/1912_toku2.pdf

 

 http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/pdf/1912_toku.pdf

 

映画『ファントマ』

《映像とは動いていなければ、それでいて色と音に彩られ、起伏を生み出すものでなければならない。》レオン・ゴーモン(創業者)

 「ゴーモン 珠玉のフランス映画史」から、ルイ・フイヤード監督の映画『ファントマ』を観る。連続活劇と呼ばれてサイレント映画の時代に欧米で盛んに製作された。

 第一話から第五話までのうち、第三話までを鑑賞。

 神出鬼没の怪盗ファントマを主人公とした連続活劇。ピエール・スーヴェストルとマルセル・アランの新聞連載小説をフイヤードが映画化。ギヨーム・アポリネールジャン・コクトーコレットら、当時のフランスの作家や芸術家たちを熱狂させた。

 第一話「ファントマ/ベルタム事件(1913年、フランス、59分、白黒、無声、Blu-ray、日本語字幕)

 第二話「ファントマ対ジューヴ警部」(1913年、フランス、64分、白黒、無声、Blu-ray、日本語字幕)

 第三話「ファントマの逆襲」(1913年、フランス、98分、白黒、無声、Blu-ray、日本語字幕)

 

 「ファントマ」は、1913年に上映がスタートして1914年まで続いた怪盗ファントマを主人公にした連続活劇。

 警部ジューヴが犯罪を犯すファントマを追跡する連続もののドラマ。

 ワクワクしてとても面白かった。当時のパリの街並み、自動車、警察の服装などの映像が興味深い。ジューヴ警部の探偵の凄腕とファントマとの知恵比べも見どころだ。

 11月パンフレットに「連続活劇とルイ・フイヤード」と題するシネマコラムによると、《冒険活劇や探偵が活躍する犯罪映画など、スリルとサスペンスにあふれたストーリーを数話に分け、観客の期待をそそりながら数週間、数カ月にわたって上映する作品を連続活劇と呼び、サイレント映画の時代に欧米で盛んに製作された。》という。

 第四話「ファントマファントマ」(1914年)

 第五話「ファントマの偽判事」(1914年)

 

映画『私たちは一緒に年をとることはない』

 「ゴーモン 珠玉のフランス映画史」からの一本。

 モーリス・ピアラ監督の映画『私たちは一緒に年をとることはない』(1972年、フランス、イタリア、107分、カラー、Blu-ray、日本語字幕)を鑑賞。

 出演、ジャン・ヤンヌ、マルレール・ジョベール。

 映画監督のジャンは、6年前からカトリーヌと付き合っているが、妻のフランソワーズと生活を共にしている・・・。ピアラの自伝的な作品であり、ジャン・ユスターシュの『ママと娼婦』と並び、映画史に残るカップルについての傑作。

 映画作家のジャンは、フランソワーズという妻がいるのだが、若いカトリーヌとも付き合っている。物語はジャンとカトリーヌの愛憎劇を中心に展開される。

 カトリーヌを部屋から追い出したかと思うと、実家に帰っていたカトリーヌの家へ現れたりとか、二人が反発をしたり、延々と繰り返される。共に依存的な関係に陥って抜き差しならない。しかし、ラストまで退屈せずに見れた。

 ジャン・ユスターシュの『ママと娼婦』と並び、映画史に残るカップルについての傑作という解説文があるのだが、映画『私たちは一緒に年をとることはない』の方が、映画としては先に公開されている。

 

干柿の蠅またふえぬ上天気

f:id:kurisu2:20191106160434j:plain

 朝晩が冷え込む。最低気温8℃。快晴で日差しが強い。最高気温21℃。乾燥した風が吹く。秋日和である。

 シャリンバイ(車輪梅)の実を見つける。枝の先に密集して白い花が咲いていた。

バラ科の常緑低木。本州南西部・九州の海岸に自生。葉は長楕円形で、枝の上部にほぼ輪状に密生する。五月ごろ、枝先に梅に似た白花が群がって咲く。実は黒紫色。樹皮から大島紬(おおしまつむぎ)の染料をとる。たちしゃりんばい。  『大辞泉

f:id:kurisu2:20191106160506j:plain


 

 「干柿の蠅またふえぬ上天気

 「柿干して日当りのよき家ばかり

 「石に腰下せば一葉かたはらに

 松本たかしの俳句である。昭和十年(1935年)の『松本たかし句集』から引用。

みうらじゅんのファンブック~松本清張~

 今年生誕110周年を迎えた小説家・松本清張をめぐる「みうらじゅんのファンブック~松本清張~」というNHKラジオの番組を聴きました。

 清張の小説と映画化した作品をめぐる興味深い文学・映画の談話、映画音楽も流される。松本清張へのインタヴュー、講演の音声も聞けて身近に感じられた番組でした。