2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

水浅し椿とどまり落花ゆく

ツバキが咲いている。赤い花が青空を背にして美しい。 「水浅し椿とどまり落花ゆく」 松本たかしの俳句で、昭和十八年(1943年)の句です。 朝のNHKラジオの番組で、「著者からの手紙」を聴く。 フランスの作家のフレデリック・ルノワール著『スピノザ―…

帰らなんいざ草の庵は春の風

渡り鳥のツバメがやって来た。快晴で、ソメイヨシノの花が見られるようになった。最高気温17℃、乾燥した風が吹く。 「帰らなんいざ草の庵は春の風」(芥川龍之介) 大正八年(1919年)の句で、前書きに、「教師をやめる」とあります。 書店でもらう『…

映画をめぐる対談

『望星』4月号の関川夏央・平川克美の対談「映画について私たちが語ること」と題した談話を興味深く読む。蔵原惟繕(これよし)監督の映画『憎いあンちくしょう』(1962年、日活)の石原裕次郎、浅丘ルリ子、芦川いづみをめぐり熱く語っていた。映画『…

本の広告から

タブロイド判出版情報紙(無料)パブリシャーズ・レビューが届いた。「みすず書房の本棚」である。一面の下に国書刊行会の本の広告があり、ケヴィン・ブラウンロウ著『サイレント映画の黄金時代』という本についての紹介文。《スターやスタッフへのインタビ…

「本よみうり堂」から

読売新聞の書評欄に毎週、「本よみうり堂」がある。3月8日の「現代×文芸 名著60」に、島田雅彦著『君が異端だった頃』を文芸評論家の佐藤康智氏が紹介している。佐藤氏は、《私は数年前、作者の年譜を作る仕事をした。(中略)図書館で資料を漁(あさ)…

アリ・スミス著『秋』

サンシュユ(山茱萸)の花が咲いている。黄色の小さな花が密集して房のようになっている。枝に若葉はまだ出ていない。遠くから眺めると、明るい黄色に包まれて鮮やかだ。 ミズキ科の落葉小高木。葉は楕円形。樹皮ははげやすい。早春、葉より先に黄色の小花を…

犬が渡り椿がくぐり橋の昼

紅色のヤブツバキの花が咲いていた。葉の縁(ふち)に小さなギザギザがある。葉に光沢がある常緑樹。 「流れゆく椿は曲り失せにけり」 「犬が渡り椿がくぐり橋の昼」 「籠り飛ぶ小鳥あるらし大椿」 松本たかしの昭和十二年(1937年)の俳句です。 最近、…