小林信彦の『うらなり』

カモメ

 きのう川を渡っていると、竹の篊(ひび)の立っている川面(かわも)にカモメがいた。ぷかりぷかり浮いているのだった。蕪村の句に、

 春の海終日(ひねもす)のたり\/哉

 昨夜のラジオ深夜便は、松山発ラジオ深夜便だった。夏目漱石の小説『坊ちゃん』誕生100年ということで、『坊ちゃん』誕生秘話である。佐藤栄作篠崎美生子のお二人が話される『坊ちゃん』という小説とその原稿を調べて分かったことなどが興味を引いた。そこで語られていた「坊ちゃん」像は、『文學界』2006年2月号の小林信彦の小説『うらなり』での坊ちゃんに近いものがある。坊ちゃん新世紀というタイトルのように、新しい解釈による『坊ちゃん』像の提出である。
 おすそ分けにあられをいただく。蕪村春秋という名で、包装紙の裏に、「なつかしきしをにがもとの野菊哉」とある。うーん。あられにも蕪村の名前が登場する。