『貸本マンガRETURNS』のこと

菜の花

 通りがかりの道のそばにある空地が花畑になっていた。その中に菜の花が咲いている。近寄って上から見た。江戸時代の蕪村が生きた頃というのは、菜の花から油を採るために、栽培地が各地で広がっていたという。蕪村の出かける土地に、黄色い菜の花畑の風景があちこちで眺められたのだろう。『蕪村句集』に、

 菜の花や月は東に日は西に
 なのはなや笋(たけのこ)見ゆる小風呂敷(こぶろしき)
 菜の花や鯨(くぢら)もよらず海暮れぬ 

 連日、新刊書店を回って探していた本を見つけた。『貸本マンガRETURNS』(ポプラ社*1である。広い店内をあちこち歩き回って見た。どこに置いてあるか? これが、難問だった。文芸評論ではなかったし、エッセイ本のコーナーにもないし、コミックの棚にもないし、店内の検索端末の画面で、出版社の名前を入力して、やっと本の置かれている番号の棚を知ることができた。この本の分類は〈雑本〉となっていた。
 2月に、『貸本マンガ史研究』の三宅君から、この本の発売を知らせる通知をもらっていた。やっと、今日手にすることができた。うーん。思っていたように、この本は労作である。
 ほかに、気になった本を見つけた。北実三郎の『永遠の自由人ー生きているきだみのる』(未知谷)*2である。きだみのるの評伝だ。岩波文庫の『完訳ファーブル昆虫記』の訳者でもある。共訳者に林達夫がいる。
 最近は、奥本大三郎の『完訳ファーブル昆虫記』(集英社*3の刊行が始まっているが・・・。