久世光彦のスラップスティック・コメディ

シダレザクラ

 正午前に雷雨になった。その後、しだいに天気が回復して青空になる。公園や通りに植えられた桜が咲き始めた。桜といえば、蕪村の『蕪村句集』に、

 手まくらの夢はかざしの桜哉
 みよし野ゝ(の)ちか道寒し山桜
 旅人の鼻まだ寒し初ざくら
 ねぶたさの春は御室(おむろ)の花よりぞ*1

 夜、ラジオで先月(3月)に亡くなられた久世光彦さんを偲んでの追悼特集番組を聴いた。「蔦信彦のエネルギッシュトーク」という番組である。昨年秋にゲストでお迎えした時の久世光彦さんのお話を再編集している。テレビドラマの「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」を制作したころの話なども聞けた。久世光彦さんは、スラップスティック・コメディとしてこれらのドラマを作られたと話されていた。「時間ですよ」は風呂場の場面が出てきておかしかった。「寺内貫太郎一家」では毎回、貫太郎がちゃぶ台をひっくり返して親子で乱闘騒ぎになる。おかしくて笑ったね。この脚本を、向田邦子が書いていた。演出が久世光彦だったんだなぁ。

*1:御室の花とは、京都御室の仁和寺境内の遅咲きの八重桜という。岩波文庫、尾形仂校注の『蕪村俳句集』より。