飢鳥(うゑどり)の華踏こぼす山ざくら

ソメイヨシノ

 快晴で陽射しが強い。寒気が流れ込んで冬に戻ったかのように寒い。
 公園や土手の桜の下での花見客が休日には見られたが、さすがに夜桜での花見客は見られない。週末までは花見ができそうだ。
 蕪村の句に、「飢鳥(うゑどり)の華踏(はなふみ)こぼす山ざくら」。安永三年三月の句か。
 
 『週刊文春』創刊50周年記念号で、「日本映画の黄金時代 もう一度見たい とっておきの50本」特別鼎談を読んだ。三人が選んだとっておきの50本リストあり。
 小林信彦中野翠鹿島茂の三人による対談である。

 中野 成瀬巳喜男なら『流れる』と『浮雲』と『晩菊』をまた見たい。
 小林 いわゆる成瀬のベスト3には入らないでしょうけど、小林桂樹新珠三千代の『女の中にいる他人』はどうでしょう。原作がエドワード・アタイヤの『細い線』というミステリーなんです。(中略)
 中野 見ててショック受けるの、エエッて。でも、新珠三千代がいい。ちゃんと芝居ができる人ですよね。
 鹿島 新珠三千代なら、川島雄三の『洲崎パラダイス赤信号』も。(中略)
 鹿島 『しとやかな獣』もおすすめです。伊藤雄之助の代表作ですね。山岡久乃との夫婦役が絶妙。主演の若尾文子もパーフェクト。