「名作映画 川島雄三監督特集」から「喜劇とんかつ一代」(1963年、東京映画、94分、カラー)を観る。観客は多く45人ほどで、あちこちから笑い声。くすくす笑いも。面白かった。
出演は森繁久彌、加東大介、フランキー堺、三木のり平、益田喜頓、山茶花究、岡田真澄の面々。女優は淡島千景、池内淳子、水谷良重、団令子、木暮実千代、横山道代と豪華。
冒頭はお寺で豚の供養をしているシーン。
東京の上野の動物園に接したフランス料理店の料理長(加東大介)が供養に参列している場面で、義理の弟伝次(森繁久彌)と顔を合わせる。二人の間になにやら気まずい雰囲気が・・・。
一緒に働いていたフランス料理店からとんかつをもっと庶民的な味にして食べてもらおうと、飛び出して店をも持った伝次と料理長の間になにやら確執があるらしい。
料理長の妻を木暮実千代が、先妻の息子伸一をフランキー堺が、連れ子の娘を池内淳子が演じている。池内淳子はクロレラの研究者(三木のり平)の妻役で。
料理長の妹(淡島千景)は、伝次の恋女房に収まっている。
料理長と伝次は、いわば義兄弟になるのだが・・・。
夫婦善哉ではないが、森繁と淡島千景が夫婦を演じている。
水谷良重(芸者役で)、団令子、山茶花究、益田喜頓の脇役も好演。
駄洒落、軽妙で滑稽なギャグもあり三木のり平とフランキー堺の二人の絡まる飄逸(ひょういつ)な演技など楽しめる。おしぼりと箸の研究で来日中のフランス人の青年役の岡田真澄が若く初々しい。
横山道代の初々しいお茶目ぶりが楽しい。お見合いの席で、テーブルの上で相手のフランキー堺と踊り出すのだ。
岡田真澄と森繁とのフランス語での会話が滑稽。
終わりはとんかつの歌を伝次の店で客も一緒になって歌う。
ミュージカル映画と化すのだった。文句なく楽しい喜劇。