集英社のPR誌「青春と読書」9月号で、奥泉光と川名潤の対談「長年の思いが叶った、アートな奇書!」を読む。奥泉光の新刊「虚史のリズム」の装幀をした川名氏と筆者の奥泉氏による装幀をめぐる文学談義が興味深く注目した。
一部引用すると、
《(奥泉) この絵画的という感覚は漱石にもあって、特に初期の、新聞小説作家になる前の漱石はすごく絵画を意識している。『草枕』の中に主人公の絵描きが女性にどうやって小説を読んだらいいかを教えるシーンがあります。彼は頭から順に最後まで読む必要はない、適当に開いたところを適当に読むのがいいんだという。確かに、我々が絵を見るとき、端から順に見ていくのではなく、全体を大摑みに見たり、さまざまな細部を見たりと、視線を動かしている。今回はそういう小説でもあるかなと思います。》
「すばる」10月号に、奥泉光と小川哲の対談があった。
「単純な物語」を捨て、小説世界を構築する、というタイトルで。『虚史のリズム』刊行記念対談。司会・構成 大森望。
一九四七年、GHQ占領下の東京。山形で起こった一つの殺人事件をきっかけに、「K文書」なる国家機密の謎が動き出し・・・ 186ページ