「湯川成一の美しい本たち」6

 20日、ラジオ深夜便の「こころの時代」で「湯川成一の美しい本たち」が放送された。
 インタビュー番組の後半、湯川書房の書物の工芸的な美をめぐる話が印象的だった。
 以下、聞き取った部分を書いてみます。 

 西橋 《戸田さん、湯川さんが追求した書物のその工芸的な美ですね。その湯川さんが追求された書物の工芸的な美っていうのは何だったっていう風に、戸田さんの言葉では(思われますか)・・・。》
 戸田 《そうですねぇ。いろいろ拝見して思うのは、素材の美しさを最大限に活(い)かした本を作ってらっしゃるんじゃないかなと、和紙にしても布にしても。手に持ったときに心地いいんですよね。
 持った重さにしても。それぞれ重さ違いますけどね。でぇ、ページめくっても、まあ、眼に飛び込んで来るその紙の美しさも、活字の美しさもあり、だからその、贅沢な本作りなんですけども、そのシンプルでパッと見、贅沢を感じさせない本が、湯川さんのお好きだった形じゃぁないかなぁとぼくは思っていますけども。》

 西橋 《その本を手にした時に、なんか手触りとか眼に飛び込んで来る物とかが、非常にこう読んでいる人を幸せにしてくれる・・・。》
 戸田 《そうですね。本というのはまぁ、テキストを読むためのもんなんですけども、それ以上にまぁ素材感も手触りやらその眼に飛び込んで来る和紙の色の優(やさ)しさも、活字の美しさも感じながらテキストを読んで物語や詩の中に入って行くってことが出来るというのが、まぁ、美しい本の姿であると思うし、えぇ。それでまたそういうのは大量に作れないんですよね、材料の関係もあって。だからおのずと限定本になって行ったんじゃぁないかなぁと思います。》
 西橋 《本屋さんに売ったりはしてないわけですね?》
 戸田 《そうですね。まぁ、ある特定の本屋さんには、その古書店とか限定版扱われる所には置かれてましたけども、まぁ、少ない本でしたらもう予約注文で一杯になってしまいますからね。》