ジャンニ・ロダーリを読む

 ニガウリと大葉(青紫蘇)の苗を植える。五月になって五月晴れの日がつづいたが、午後から天気が下り坂で、夕方から小雨が降り出した。

 ジャンニ・ロダーリ著『青矢号 おもちゃの夜行列車』(岩波少年文庫)を待ちに待っていたのを、大型書店でやっと見つけた。
青矢号―おもちゃの夜行列車 (岩波少年文庫)
 イタリアの一月六日はエピファニー(公現祭)というお祭りで、ベファーナというおばあさんのすがたをした魔女が、サンタクロースのようにプレゼントを持って古ぼけたほうきに乗って一軒いっけん回り、煙突から中に入って子どもたちの枕元の靴下にプレゼントを入れて行きます。
 イタリアの子どもはこの日を楽しみにしています。
 そんなベファーナを題材にして、おもちゃが自分の意志で子どもたちのところへ電気機関車「青矢号」に乗って行けたなら・・・・・・どうなるか。
 奇想天外なお話なのですが、ジャンニ・ロダーリの生い立ちが色濃く反映されているようです。
 物語はベファーナのお店(魔女が経営している)のおもちゃたちの一つ一つが、命を吹き込まれたかのように生き生きと会話を交わし、とびまわっている描写が面白いです。*1
 
 関口英子さんの「訳者あとがき」によりますと、

 日本でも、一九五六年に『チポリーノの冒険』が杉浦明平さんの翻訳で岩波書店から出版されたのに続いて、『青矢号のぼうけん』というタイトルで、この物語が一九六五年に翻訳されました。そのほかにも物語を中心に十数冊ほどのロダーリの作品が出されましたが、しだいにほとんどの本が手に入りにくくなり、なかには図書館などでしか読めなくなってしまったものもあります。それが、ここ数年は、イタリアでエイナウディ・ラガッツィという出版社がロダーリの作品をまとめて復刊しているのと平行するようなかたちで、「小さなロダーリブーム」とでも呼べるような現象が起き、新しい作品が紹介されたり、かつて翻訳された作品が新しい翻訳と装いのもとに生まれ変わったりしています。ロダーリの大ファンである私にとっては、とてもうれしいことです。しかも、私自身が、ずいぶんと長いことねむっていた青矢号たちを起こして、日本の読者のみなさんのところへとどけるお手伝いができるなんて、このうえもない幸せなひとときでした。  253ページ


 ジャンニ・ロダーリが着目したベファーナについては、光文社古典新訳文庫の『猫とともに去りぬ』(関口英子訳)のなかに、「ベファーナ論」というお茶目な作品があるので、両方を読み比べてみるのも愉しいでしょうね。さし絵は平澤朋子さんです。
猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

*1:原題:LA FRECCIA AZZURRA