フレデリック・ワイズマン監督の映画『動物園』

動物園

 7日、フレデリック・ワイズマン監督の映画『動物園』(1993年、130分、カラー)を観に出かけた。
 字幕翻訳は田中武人。原題はZoo。
 「フレデリック・ワイズマンのすべて」の巡回上映の一本である。
 
 冒頭、マイアミの動物園の動物の姿のクローズアップから始まる。
 ライオン、シマウマ、象、ゴリラ、チンパンジー、犀(さい)、フラミンゴ・・・など。
 モノレールが園内を通っている。入園者は家族連れで和やかに動物を見て楽しむ。
 園内には大きな池があってフラミンゴの群れや錦鯉なども映される。
 象が芸をするのを観て楽しんだり、ラクダに乗ったり、子供らはウサギや鹿などに触れあえる施設で遊んでいる。

 犀(さい)の出産のシーンがあるのだが、高齢出産のために難産の末、死産だった。
 女性の獣医らが懸命の行為で助けようとした努力も実を結ばなかった。
 その後、犀(さい)の死骸を獣医は、よその動物園へ電話し必要な臓器があれば解体するからあげますよと伝えるのだった。
 焼却炉のあるところまで運び、地面に死骸を置き、説明をしながら解体をしていく。
 希望された臓器を取り出しホルマリン漬け容器に入れていく。残った死骸は焼却炉へ放り込まれる。
 園内に三匹の野犬が侵入して鹿が襲われ殺される。飼育係は銃を持ってトラックで園内の道を探し回り、樹木や草で覆われた茂みに見つけて射殺する。死骸を運び出して焼却炉へ放り込む。
 ゴリラの歯石を取るために麻酔をしてとるシーンもある。
 テレビ局の撮影隊が虎を撮っているシーンも。
 動物園の運営のための寄付金集めに動物のいる夕食会が開かれ、盛装した人々が集まり、肩に鳥を止まらせたりして盛大なパーティが行われる。
 動物園関係者の運営問題をめぐる協議会も映される。
 
 ラストは、夜空に満月が昇っている。
 再び、冒頭のように動物園に入場した家族連れが動物を見て楽しむ様子が映し出される。
 クローズアップの動物達・・・。

 大きな動物園を維持管理するスタッフの日常を、見物客として動物園を訪れる者が目にすることのない側面をリアルに、時に非情な場面も映し出している。