17日、「日本映画 スター・ベスト30」の1本、小沢茂弘監督の『多羅尾伴内 七つの顔の男だぜ』(1960年、東映、87分、カラー)を観た。脚本は比佐芳武。
出演は片岡千恵蔵、中原ひとみ、江原真二郎、中山昭二、佐久間良子、山形勲。
プログラムに、
名探偵・多羅尾伴内が、得意の変装術を駆使して難事件を解決する、片岡千恵蔵主演の現代ミステリー。そのシリーズ最後を飾る一篇。富豪の令嬢が誘拐され、追跡中の刑事が射殺された。捜査に乗り出した多羅尾伴内は、次々に姿を変え、謎の核心に迫る。
冒頭、富豪の令嬢(中原ひとみ)が車を覆面をした男らに停止させられ誘拐された。
同乗者の通報で駆けつけた警官が二人、銃で撃たれ殺される。
事件発生で、蒲田警察署の捜査本部に大沢警部(山形勲)らがいるところへ飄々とした私立探偵・多羅尾伴内(片岡千恵蔵)が登場し、捜査に協力しながらみずからも事件の真相を探る探偵活動に入った。
多羅尾伴内は何人にも自由自在に変装して事件の鍵を握る人物に接近し、いつの間にか事件の犯人一味をあぶりだし追いつめた。
片岡千恵蔵は自らを名乗ったあとは、二丁拳銃を取り出し大勢の一味に向かって撃ちまくる。
後ずさりしながら、悪人一味はピストルで応戦するのだが、じりじりと片岡千恵蔵に圧されていく。
一味の撃つピストルの弾は不思議にも「正義と真実の人、藤村大造」には全然当たらない。
手をひねるように、悪人どもはお手上げ状態で抵抗むなしく、そうこうしているうちに警官隊の車が到着してお縄頂戴(ちょうだい)になってしまうのだった。めでたし、めでたし。
一件落着。
テレビ時代劇の水戸黄門や遠山の金さんのような味わいがある事件の決着だ。
警部補役で堀雄二。悪役で進藤英太郎、東野英治郎が出演している。
一味を前に、変装の仮面を剥ぎ取って、自分に向かって「正義と真実の人、藤村大造」と自己紹介するのが面白い。多羅尾伴内の強烈なキャラクターを楽しんだ。