10月に引き続き今月(11月)も「日本映画 スター・ベスト30」の上映がつづく。
9日、成瀬巳喜男監督の『放浪記』(1962年、宝塚映画、123分、白黒)を鑑賞。
出演は高峰秀子、田中絹代、宝田明、加東大介。脚色は井手俊郎、田中澄江。美術が中古智。音楽を古関裕而、川西正純。
11月プログラムより引用。
林芙美子の自伝小説の三度目の映画化。菊田一夫による舞台劇の要素も取り入れ、文学を志すヒロインが文壇で脚光を浴びるまでの苦難の道のりを描く。主演の高峰秀子は、メイクや表情に工夫を凝らし、独自の解釈でヒロインを演じた。
他に、仲谷昇、宝田明、伊藤雄之助、加藤武、草笛光子らが共演している。
川端康成原作『千羽鶴』につづいて林芙美子原作の『放浪記』である。
林芙美子について川端康成がどう見ていたのか。
林芙美子の小説について、川端康成が『小説の研究』でつぎのように書いている。
昭和十一年第一書房版です。講談社学術文庫の「まえがき」の川端香男里氏によると、版を重ね、この『小説の研究』は、昭和十四年の段階で七千部を売り切ったといいます。
しかし、甘いからといって、女流作家は男の作家より感情が豊かと思うと、まったくその逆である。最もすぐれた抒情作家であるところの宇野千代氏や林芙美子氏にしても、その作品の感情は案外単調である。その他は私たちの想像以上に感情の粗略な作家が多い。 「女流の作品」195ページ
昭和九年八月一日付「東京日日新聞」に掲載の(川端康成の)「文芸時評」より。

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