「日本映画 隠れた名作」

 中公選書の新刊に、川本三郎筒井清忠著「日本映画 隠れた名作」が出ていた。
 「昭和30年代前後」という副題があり、昭和30年代前後の作品と監督を語る対談本だ。
 スクリーンで観たことのある監督の作品をどのようにお二人が感じたかという興味で読んだ。

 家城巳代治渋谷実田坂具隆野村芳太郎、西川克己の作品などを論じている。
 田坂具隆監督について、川本三郎さんは「親鸞」「続 親鸞」の二作品を観たことがないという。うーむ。
 筒井清忠さんも観たことがない口ぶりだ。うーむ。

 田坂具隆監督の映画『親鸞』(1960年)と『続 親鸞』(1960年)の二本は、田坂具隆監督の初カラー作品で、吉川英治の小説「親鸞」を映画化している。全篇ではなく、月輪兼実の娘・玉日姫(たまひひめ)と親鸞が出会って、比叡山延暦寺から奈良の法隆寺へ修行に出かけ、再び延暦寺へ戻り、法印聖覚の勧めで法然を訪ね、法話に感銘し法然の元へ弟子入りする。
 そして、クライマックスの親鸞が関白の月輪兼実の娘の玉日姫(たまひひめ)と結婚するまでを映画化している。

 今年の春、「芸術新潮」2014年3月号が特集で、「梅原猛が解き明かす 親鸞の謎」という特集があった。
 玉日姫(たまひひめ)と親鸞の結婚の謎を梅原猛が、玉日姫の座像が残る関東の称名寺を訪ねて対面し、京に残る玉日姫像などとも対面する思索紀行で、豊富な貴重な美しいカラー写真とともに、読み応えがあった。
 単行本化されるのを前提にした特集でしょうね。

芸術新潮 2014年 03月号 [雑誌]

芸術新潮 2014年 03月号 [雑誌]