ぱつぱつと紅梅老樹花さけり


 久しぶりの快晴で、最高気温が13℃、最低気温4℃。風も穏やかだ。
 白梅の花が見頃になっている。梅の甘い香りが周辺に漂っていた。

 「ぱつぱつと紅梅老樹花さけり

 飯田蛇笏の俳句で、昭和二十二年(1947年)の句である。
 老樹といえるような古い梅の木があり、今年もその枝に花が見られる。老木の伸びた枝の先々に、晴れやかにぱっぱっと紅梅が散らばって咲いていたよ。

 今日出海の「天皇の帽子」を読み終える。
 今日出海が「山中放浪」を上梓(じょうし)して以来、最初の小説集であると、「あとがき」にある。

 《私は自分の作品について語ることを好まない。自分の作品を回顧して何か語っているのは年寄りばかりである。第一私は進歩というものを十九世紀が生んだ亡霊的観念と思っている。ただこの二、三年間に書いた小説を集めたにすぎない。》
 『天皇の帽子』(中公文庫)の解説は、植草圭之助