「波」7月号の森まゆみさんの連載「子規の音」第十八回を読みながら、坪内稔典編「漱石俳句集」の明治二十八年の句をみると、
「柳ちる紺屋(こうや)の門の小川かな」
「見上ぐれば城屹(きつ)として秋の空」
「秋の山南を向いて寺二つ」
「山四方中を十里の稲莚(いなむしろ)」
「一里行けば一里吹く稲の風」
編者の坪内稔典氏の注によると、上記の句は、漱石が子規へ送りたる句稿にあり、漱石の九月二十三日の散歩での作という。
そして、つづけて、《この句稿で愚陀仏庵主と署名。愚陀仏が漱石の別号となる。》という注釈があった。
城は、松山城である。紺屋(こうや)は染物屋のことをいう。
つづけて、《この年の四月から一年間、漱石は愛媛県尋常中学校嘱託教員として松山に滞在した。》

- 作者: 夏目漱石,坪内稔典
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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