枯蔓の太きところで切れてなし

 晴れて、南西の風が吹く。寒波が去って冬日和である。
 山道にツワブキの花が生えていて、花が綿毛になっていた。
 風が吹くと今にも飛んで行きそうだ。

 「さし寄せし暗き鏡に息白し
 「枯蔓(かれづる)の抱きたる実を失くし居り
 「枯蔓の太きところで切れてなし


 中村汀女の俳句で、昭和十一年(1936年)の句です。