残りたつ絮(わた)飛ばさんと枯薊(あざみ)


 二十四節気のひとつ冬至で、天気は曇りだった。最高気温15℃、最低気温10℃。
 風はなく湿度が高い。冬木立の公園の池に、睡蓮の葉が浮いているのが眺められた。
 冬空と枯れた銀杏(いちょう)の枝が、浮き葉のあいだに映っている。


 「かへりみて歩をうながしぬ冬木中
 「枯蓮の残る茎のみ如何んとも
 「残りたつ絮(わた)飛ばさんと枯薊(あざみ)


 中村汀女の俳句で、昭和十三年(1938年)の句です。
 「小石川植物園 三句」の前書きがある。
 「残りたつ絮(わた)飛ばさんと枯薊(あざみ)」の絮(わた)は、綿毛。
 風に吹かれて遠くまで飛んで行く。