「ブローティガンと俳句の関係」を読む

 岩波書店のPR誌「図書」1月号の池澤夏樹の連載「詩のなぐさめ」で「ブローティガンと俳句の関係」を読んだ。
 池澤さんが、一九七六年の話を書いている。
 当時、アテネで暮らしていたそうだ。*1 
 一部引用すると、

 

 ぼくはほとんど詩人であるこの作家が好きになって、著書を集めて読んだ。『アメリカの鱒釣り』には藤本和子という人の手になる日本語訳があって、それはとてもいい訳だった。
 英語のままの本も買って読んでいるうちに『ピル対スプリングヒル鉱山の落盤』という詩集に出会った。このタイトルの意味はたくさんの精子が死に、たくさんの人が死ぬということ。
 好きな詩から一つまた一つと訳してみるうちに欲が出て本にしたくなった。
 それが一九七六年の話で、ぼくはアテネで暮らしていた。彼の小説は三、四点が邦訳されていて、一冊を除いては藤本和子訳だった。ぼくはブローティガンに手紙を書いて、詩集の訳を出版することを許してほしいと告げた。小説ならば藤本訳は完璧、しかし詩は詩人にやらさせていただけないか?
 めでたくご本人から了承の連絡を受けて、タイトルは収録作の一篇を取って『チャイナタウンからの葉書』にした。

 読み終えると、リチャード・ブローティガンを懐かしく思い、本棚から探して来た。
 わたしも《ほとんど詩人であるこの作家が好きになって、著書を集めて読んだ。》ことがあるからだ。
 池澤さんは、『THE PILL VERSUS THE SPRINGHILL MINE DISASTER』という詩集のタイトルを『ピル対スプリングヒル鉱山の落盤』と訳している。
 
 「チャイナタウンからの葉書」の詩は、A Postcard from Chinatown。七行の詩である。
 

*1:池澤さんはギリシャテオ・アンゲロプロス監督の映画の日本語字幕を担当している!