テレビ前夜

ツバキ科の常緑高木の椿(ツバキ)の実が膨らんできている。

実は球形でつやつやしている。葉も艶(つや)がある。実も葉も硬い。

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「ちくま」と「図書」の7月号を手にとってみた。

「ちくま」の連載「絶滅危惧個人商店」(井上理津子)を読む。大田区梅屋敷の「レ・アル かきぬま」というお店の訪問記。

 《今日の目的の店は、「ものすごく安い」と、近くに住む知人が絶賛する八百屋さん「レ・アル かきぬま」だ。》

「図書」は、加藤典洋の「私のこと その6 テレビ前夜」を読む。一九五九年四月に山形から尾花沢の小学校へ転校した年に、貸本屋から一日一〇円のお小遣いで毎日一冊借り出して読んだ思い出を書いている。

一部引用すると、 

マンガでは、白土三平の『忍者武芸帳』。こんなに面白いマンガを読んだのはじめてで、興奮して眠れなくなった。つげ義春さいとう・たかを辰巳ヨシヒロなどのマンガも独力で発掘した。マンガがなくなると、少年少女世界文学全集に打ち込んだ。  

 

新刊の広告

PR誌「一冊の本」7月号を入手しました。7月5日発売の新刊に、小林信彦の『アメリカと戦いながら日本映画を観た』というタイトルの本が出るようです。

戦時下をひとりの少年がどのように過ごし、感じ、そして敗戦を迎えたかを当時の映画の記録とともに克明につづる私的なドキュメント。戦下の自伝的映画史の傑作、待望の復刊。《解説・芝山幹郎

 

アメリカと戦いながら日本映画を観た (朝日文庫)

アメリカと戦いながら日本映画を観た (朝日文庫)

 

 

「scripta」の連載を読む

紀伊國屋書店の「scripta」の新刊号、no.52を頂いた。年に四回の発行なので、今号は夏号になる。森まゆみの連載『30年後の「谷根千」』を読む。

三十年以上前の一九八六年十二月発行の豆腐屋特集号をめぐる話が興味深い。桐谷逸夫・エリザベス夫妻の今、詩人の諏訪優が自著『芥川龍之介の俳句を歩く』の自筆広告を書いてくださった経緯などが語られています。

《(前略)結論をいえば、現在、手作りの豆腐屋は地域に三軒しか残っていない。実に八割が消滅した。》

《三十三年で、町はなんと変わったことだろう。そしてあの時豆腐屋さんたちが口々にいった予測がすべて当たってしまった。》

PR誌、「scripta」

22日、夏至。最高気温29℃。湿度が低く、心地よい乾いた風が吹く。

蓮(ハス)の花が見ごろですね。

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紀伊國屋書店のPR誌、「scripta」は年に四回の発行です。連載の記事では、「中古典ノスゝメ」(斎藤美奈子)、『30年後の「谷根千」』(森まゆみ)、「半農半翻訳な日々」(吉田奈緒子)を愛読しています。

他社のPR誌は毎月の発行ですね。

敷石の真中を行き夏の猫

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蓮(ハス)の花びらが散り、花托(かたく)にハスの種が見られます。

雨蛙子に夕暮の戸を閉めて

敷石の真中を行き夏の猫

十薬を揺すぶり去りし夕蛾かな

中村汀女の、昭和二十二年(1947年)の句です。

 

蓮の花と小説『猫の客』

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蓮(ハス)が咲いている。見ごろだ。もうすぐ夏至である。

スイレン科の水生の多年草。根茎は節が多く、晩秋に末端部が肥厚し、蓮根(れんこん)といい、食用。葉は円形で長い柄をもち水上に出る。夏、水上に花茎を伸ばし、紅・淡紅・白色などの大きな花を開く。花のあと、花托(かたく)が肥大して逆円錐状になり、ハチの巣のような穴の中に種子ができ、食用。インドの原産で、古く中国から渡来し、池・沼などに栽培される。蓮華(れんげ)  『大辞泉

最近、一冊の小説を読んだ。

平出隆の『猫の客』である。帯に、

チビの来た庭

狂騰する時代の波に崩される古い屋敷での

生きものの軌跡ーー魔術的私小説

とある。

一部引用すると、

《七月半ばに梅雨があけると、庭の池のほとりの日当たりのいい岩に、一匹のシオカラトンボの青い姿態があらわれていた。ホースの水でつくる空中の弧についついと口づけてきたあの一匹の、遺した息子ということになるのだろうか。》(以下、略)

このシオカラトンボが、差し出した左手の人差指に止まる。

《喜びとともに息を凝らした。やはり彼だ。短いようで、長い時間だった。人けの絶えようとする、周囲の目からも奇妙なほど隔絶されている庭の中央で、指先にしばし、大きな二個の複眼と透き徹った四枚の翅を載せていた。》

 

猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)

猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)

 

 

 

 

 

 

花菖蒲にシオカラトンボ

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シオカラトンボが、花菖蒲(ハナショウブ)にいた。最接近すると飛び上がる。しばらくすると、舞い戻って来る。同じ場所へ戻る習性がある。

トンボ科の昆虫。中形で最も普通のトンボ。四~九月に現れ、成熟した雄は腹に青白粉を装う。雌は淡黄褐色でムギワラトンボという。  『大辞泉