読書アンケート

 みすず書房のPR誌「みすず」1・2月合併号の読書アンケートを手に取ってみた。

 2023年8月号をもって休刊の予定とみすず書房からのお知らせがあった。

 どんな本がアンケートにあるか眺めてみた。

 

 

 山田稔氏の奈良有里『夕暮れに夜明けの歌をーー文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス)、津野海太郎『かれが最後に書いた本』(新潮社)および津野海太郎『編集の提案』(黒鳥社)

 坂内徳明氏の長谷川櫂『俳句と人間』(岩波新書)、落合勝人『林達夫 編集の精神』(岩波書店

 松家仁之氏の奈良有里『夕暮れに夜明けの歌をーー文学を探しにロシアへ行く』(イースト・プレス)、那須耕介『社会と自分のあいだの難関』(編集グループSURE)、飯野孝行・南伸坊『いい絵だな』(集英社インターナショナル)、高橋秀実『道徳教室ーーいい人じゃなきゃダメですか』(ポプラ社

 

       

      

 

ラジオ千夜一話から

 NHKラジオ深夜便に、「五木寛之のラジオ千夜一話」という放送番組があります。これまで多く対談をされている五木さんが、特別に印象に残っている対談が羽仁五郎さんとであったと話されていました。

 そういえば、五木寛之『箱舟の去ったあと』という対談集にたしか羽仁五郎との対談があったことを思いだしました。どんな対談だったか、読んでみましょう。

 羽仁五郎といえば、落合勝人さんの『林達夫 編集の精神』にも、確か触れられていたようなので確かめてみましょう。

 

 

 

 

 

 

映画「恋するアナイス」

フランス映画の現在 vol.04
ジャン=マルク・ラランヌが選ぶ2020/2022ベストの一本。

ジャン=マルク・ラランヌによるセレクション(「レザンロキュプティーブル」編集長)
企画協力・ジャン=マルク・ラランヌJean-Marc Lalanne。

 シャルリーヌ・ブルジョワ=タケ監督の映画「恋するアナイス」(2021年、フランス、98分、カラー、Blu-ray、日本語字幕)
出演は、アナイス・ドゥムースティエ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ドゥニ・ポダリデス。

「16世紀における情熱」についての博論を書き終えないまま、将来も恋愛も見通しがたたないでいる30歳のアナイス。ある日、アナイスはダニエルという年配の男性とつき合い始めるが、しだいにダニエルの伴侶であるエミリーに魅了されていく。第74回カンヌ国際映画祭批評家週間で注目を集めたシャルリーヌ・ブルジョワ=タケの長編デビュー作。自然の中で解放され、しだいに惹かれ合う二人の女性たちが繊細かつ官能的に描かれている。(パンフレットより)

 上映後、坂本安美氏による映画「恋するアナイス」作品について解説のアフタートークがあった。

 この映画は主人公のアナイスが冒頭から走る走る、エネルギッシュに動く。コメディタッチのエピソードもある。カメラは好奇心と本能のままに生きる悩むアナイスを追いかける。そのなかで出会ったダニエルの伴侶にアナイスは魅了されていく。ラストのはるか海を眼下に望む海岸の大自然を二人が歩む姿が印象的だった。

 

 

マリノス・カルティキス監督の映画「老人」

 8月に「EUフィルムデーズ2022映画でつながる、ヨーロッパ」映画祭で上映された一本。

 マリノス・カルティキス監督の映画「老人」(2020年、キプロスギリシャ、84分、カラー、Blu-rayギリシャ語、日本語字幕)を鑑賞。

 老いと孤独をテーマにした作品。主人公のテオハリスは一人暮らしの老人。毎日、家から病院へ向かい、外来室のベンチで眠る。誰にも気づかれることなく朝になると自分の家に戻る生活を過ごしていた。ある日のこと、病院の若い看護師エブゲニアが外来室に眠っていたテオハリスの存在に気づいた。彼女は老人のその様子に興味を持ち話しかけはじめたが、最初は彼女の申し立てに拒否しようとしていたのだが、いつしか、しだいに二人の間の溝は埋まり、じょじょに信頼関係が出来上がり始めるのだった。老いと孤独の疎外感を描いたキプロス映画。

 

 

 

 

「夕子ちゃんの近道」

 中央公論新社から出ていた文芸誌に「アンデル」という名前の小冊子があったのをご記憶の方は今もいるだろうか。創刊は2015年1月号からである。創刊号からはじまった連載小説に、長嶋有の「三の隣は五号室」というタイトルの小説があって、毎回愉しみにしていた。その長嶋有の小説「夕子ちゃんの近道」を読んだ。文庫本の解説が大江健三郎

 長嶋有の「三の隣は五号室」は「部屋」から見た小説といえる。

 「夕子ちゃんの近道」について語るなら、この小説も古道具屋の「部屋」から見た小説といえるのではなかろうか。

 ラストに付け加えられたパリへの旅行の描写もホテルの部屋からみた光景である。

 

 

 

 

 

映画「ツユクサ」

 今年観た映画を振り返ると、平山秀幸監督の映画「ツユクサ」があった。主演は小林聡美小林聡美といえば、フィンランドヘルシンキを舞台にした荻上直子監督の映画「かもめ食堂」が思い出されるのだが、映画「ツユクサ」も印象深い作品だった。

映画『ツユクサ』公式サイト | 絶賛公開中 (tsuyukusa-movie.jp)

 

新刊のエッセイ

 八朔(はっさく)の実る季節になった。青空を背にして果実の黄色い色が鮮やかだ。ミカン科ミカン属の常緑広葉樹。近くに寄って眺めると、葉に艶(つや)がある。
 八朔は甘味と酸味にほのかな苦みのバランスがよい。爽やかな香りもよい。 


 ミカンの一品種。果実は表皮が滑らかでやや小形、甘味も多い。江戸末期に広島県因島で発見された。八朔柑(はっさくかん)。  『大辞泉

 新刊で、川本三郎著『ひとり遊びぞ我はまされる』を読む。
 

 雑誌「東京人」連載の文を収録している。

 「清張の甲州好きの謎を解く。」は清張の文学の恩人、山梨県生まれの木々高太郎について触れている。
 「近郊ローカル線に乗って児玉へ。」は、吉田健一の「或る田舎町の魅力」の町、JR八高線児玉駅へ鉄道で訪れたエッセイ。

ひとり遊びぞ我はまされる - 平凡社 (heibonsha.co.jp)