2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

田中小実昌の『アメン父』を読みながら、大和に我を忘れる

デイパックに田中小実昌の本を2冊入れて出かけた。『アメン父』と『ないものの存在』だ。『アメン父』は1989年の初版、河出書房新社。初出誌は「文藝」1988年秋号。バブル経済の頃の本だ。電車のなかで『アメン父』を読んでいたらいつの間にか目的…

酒井抱一の江戸琳派芸術

「琳派百図展」で酒井抱一の作品を観た。いづつやという呉服屋で開催したもので、「染色工房にて職人達の座右に置かれ、丹念に鑑賞され、研究されて参りましたコレクションを、同様の、とても身近な距離でご鑑賞していただける展覧会でございます。」という…

宇野千代の故郷、岩国を歩いた時の話

山本五十六が東京出張の時、戦艦大和の停泊地であった柱島近くから岩国へ上陸して、夜行列車に乗り換えるのが岩国駅だった。宇野千代が毎日新聞に『生きてゆく私』を連載していた頃、路上観察と称して岩国の古い家並みを歩いた。西岩国駅から錦帯橋へ向かう…

岡本太郎展ー明日の神話を観る

私がホテル・デ・メヒコに描いた壁画は『明日の神話』と題する。画面の中央には骸骨が炎をふいて燃え上がっている絵である。みな感動する。燃えている骸骨に、不吉とか嫌悪感を示す人は一人もいなかった。メキシコだからこそ、私もああいう絵を描いたのだが…

吉村昭の「陸奥爆沈」は柱島から始まる

山本五十六が戦艦大和の停泊地である柱島近辺の海上から、東京出張のために岩国へ小型艦船で上陸しますが、作家の吉村昭は「陸奥爆沈」の取材のために東京から岩国へ降り立ちます。戦艦陸奥爆沈の現場に一番近い広島湾の南の端にある柱島へ渡った吉村昭は、…

阿川弘之の「山本五十六」での乗り物の描写

はてなダイアリーを始めて三日目、誤って過去二日分を全部削除してしまった。新たに再開だ。 23日に呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)が開館した。戦艦大和といえば、私には阿川弘之の「山本五十六」が思い出される。山本五十六が東京へ出張する時に…