2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「全集 もっとも贅沢な読書」

集英社の季刊誌「kotoba」2015年夏号を手にとってみた。 「全集 もっとも贅沢な読書」というタイトルの特集号である。 参照: 季刊誌「kotoba」 http://shinsho.shueisha.co.jp/kotoba/ 内山節氏の「何が切実な問いなのか」を教えてくれるものや岡崎武志…

『ほんほん本の旅あるき』を読む

南陀楼綾繁著『ほんほん本の旅あるき』を読む。 南陀楼綾繁『一箱古本市の歩きかた』の続編になる。 新潟や新津への「本の旅あるき」が楽しめた。新津に坂口安吾の墓があるそうだ。 呉市での一箱古本市と田中小実昌の育った呉の探訪記が読ませる。*1 吉村昭…

「詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想」のこと

種村季弘単行本未収録論集『詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想』の巻末の「解題」と「種村季弘略伝」を齋藤靖朗氏が書いている。 冒頭の「落魄(らくはく)の読書人生」は、青年向けの講演を文章にしたもののようだ。 原題は、「この世はぺてんとデカダン…

一読者から

19日の新聞に西江雅之氏の訃報記事を目にしました。 雑誌『ユリイカ』2013年6月号が、特集・山口昌男だったのですが、西江雅之さんが「山口昌男さんとのこと」という文章を寄稿されていました。 お若い頃の山口さんとの西江雅之さんの逸話などが興味…

紫陽花に雨きらきらと蠅とべり

梅雨の花といえば、アジサイの花が見頃だ。 雨にぬれて花の色が鮮やかである。 ふと見ると、花の中心に小さな虫がとまっていた。 甲虫のようだ。 紫陽花に雨きらきらと蠅とべり 飯田蛇笏の句集『霊芝』の昭和十一年(1936)の俳句です。

『繁栄の昭和』

16日、梅雨の晴れ間に美しい梅の実を見た。ほんのりと黄色く色付いていた。 17日、晴れる。南西の風が吹く。最高気温27℃、最低気温18℃。 夜、NHKラジオの番組で「ミュージック・イン・ブック 音楽と文学の交差点」を聴いた。 司会が松浦寿輝で、毎回…

苔庭の夜あさき雨に金魚玉

15日、梅雨の晴れ間で気温が上がる。最高気温28℃、最低気温21℃。 この時期、公園の池にクロイトトンボが見られる。 夏至を迎えるころまでによく見かけるトンボである。 大きなハスの葉にとまっていた。近寄って観察しても逃げる様子もなく葉にとまって…

『ぼくの特急二十世紀』3

双葉十三郎著『ぼくの特急二十世紀』の「第2章 雑誌『新青年』はよかったな」では、雑誌『新青年』について語られる。 《雑誌だと、中学二、三年のころから『新青年』の熱烈なファンになりました。『新青年』は大震災のちょっと前、たしか一九二〇(大正九…

『ぼくの特急二十世紀』2

双葉十三郎著『ぼくの特急二十世紀』の「第一章 立川文庫と連続活劇の時代」に、 《幼いころのぼくが映画好きになったのは、アメリカの連続活劇と日本の忍術チャンバラ映画のおかげです。(中略)そうして見たのが、アメリカの連続活劇や日本の尾上松之助、…

『ぼくの特急二十世紀』

街路樹のナツメの木に小さな花が見られた。赤い実が毎年鈴なりになる。 クマノミズキには白い小さな花が密集して咲いていた。 熊野水木(くまのみずき) ミズキ科の落葉高木。葉は対生し、卵状長楕円形で裏側は白色を帯びる。六、七月ごろに白色の小花を密集…

小説「三の隣は五号室」のこと

タチアオイが満開になった。タチアオイの背の高さは人の背ほどある。 立葵(タチアオイ)という植物名はその姿形をよくあらわしている。 花びらの色が鮮やかだ。 アオイ科の越年草。高さ約二メートル。葉は心臓形で浅い切れ込みがある。花茎は長く、梅雨のこ…

コサギと100年の文学宇宙

干潮の水辺に一羽の白い鷺(さぎ)がいた。 近づいても逃げる様子はなく、数メートルの距離まで近寄った。 鳥は水中のえさ探しに夢中でゆっくりと場所を移動している。 頭のうしろからの冠羽が垂れている。コサギのようだ。 サギ科の鳥。全長六〇センチ。全…