上弦の月とコガネムシと深沢七郎

コガネムシ

 夕暮れの空が、ピンク色と青い空の色とのまだら模様の夕焼けになっていた。南の空には月が登っていて上弦の月になるところだった。しばらく見ていると、夕焼けははかなく消えていった。
 夜、コガネムシが飛来する。テーブルに着陸。
 先日は、キリギリスが台所へやって来た。野菜を食べに寄ったのではなさそうだった。
冷蔵庫のドアにしがみ付いていた。手で摘まむとキリギリスはドアから、簡単に離れた。色は緑ではなく褐色であった。フライパンで煎って食べたりせず、丁寧に外へ放す。
  
 深沢七郎の『生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集』2005年刊(光文社)を読む。
 感想と言えば、深沢七郎の『怠惰の美学』(日藝出版)という本の内容と似ている。
 表紙にレイアウトされている若林美宏さんの写真は『怠惰の美学』の本の口絵のなかの写真の一枚と同じのを使っているので・・・。うーん。懐かしいね。

 みずから人間の生と死について講釈する人間滅亡教教祖・深沢七郎は〈怠け者という名に劣等感を覚えたことはない むしろ働き者が悪人だ〉と断言する!

 これは、深沢七郎の『怠惰の美学』の帯にあるコピー(広告の文)。
 
 深沢七郎の『人間滅亡的人生案内』(河出書房新社)、これは深沢七郎のエッセンスがつまっているような本で、読者からの質問と深沢七郎の回答から出来ている。その回答がいい。読後、なんだかサバサバする。

 雨ニモマケ風ニモマケ、土を耕しミソを醸り、出世名誉と一切無縁な市井の生活の地平から、金銭理想に血道をあげる人間の滅亡を説き、見栄常識で痩せ細る人生人間に“現代”からの“敗走”を呼びかける人生案内 

 これは、深沢七郎の『人間滅亡的人生案内』の帯にあるコピー(広告の文)。