「怠惰への讃歌」と「無用」の知識

エノコログサと蝶

 イネ科のエノコログサが群生している。その中のひとつに蝶がいた。
 調べるとヤマトシジミのようだ。大きさは2センチほどの蝶である。

 イネ科の一年草。路傍や空き地の至る所にみられ、高さ四〇〜七〇センチ。葉は細長く、先がとがる。夏、茎の頂に円柱状の太い緑色の穂を一本出し、子犬の尾に似る。ねこじゃらし。  『大辞泉

 バートランド・ラッセルの『怠惰への讃歌』は、今月(8月)に平凡社より復刊される予定。
 それで、角川文庫版の『怠惰への讃歌』を久しぶりに読んでみた。
 第二章から、興味深い箇所を一部、引用してみる。

 恐らく「無用」の知識の最も大切な長所は、心の瞑想的な習慣を強めることであろう。一体この世には、適当にあらかじめ反省しないで行動しようとするばかりではなく、何もしない方が賢明だと知慧が教えてくれる場合にも、何か行動しようとするはやり切った気持が多すぎる。(中略)だが私としては、行動は、宇宙や人間の運命を深く理解して起る時、即ちロマンティックであるがつり合いのとれない自己主張からは起らない時、最もよいものであると考えるのである。行動のなかというより思索のなかに喜びを見出す習慣は、無智におちいったり、権力に愛着しすぎたりしないようにする安全弁であり、不幸におそわれても落つき、苦悩があっても心の平和を保つ手段である。個人的なことばかりに限られた人生は、おそかれ早かれたまらない程つらいものになる。これと異なって、人生のもっとも悲劇的な部分にたえていける方法は、遥かに人生より大きくそういらだたない宇宙をのぞいてみる以外には、何もない。  35〜36ページ

怠惰への讃歌 (平凡社ライブラリー)

怠惰への讃歌 (平凡社ライブラリー)