金柑と光琳

金柑の実

 一月下旬の大寒の頃のような日々が続く。散歩の途中に金柑(きんかん)の実が鈴なりになっているのを見つけた。実の色は黄色や橙(だいだい)色でまだらになっている。この実で作ったジャムは香りと苦味があるが、マーマレードのような甘さを感じなくていいね。
 『芸術新潮』10月号の大特集「光琳の七不思議」を読む。巻頭に光琳について次のように紹介されている。うーむ。これは、ひとすじなわでは行かない人のようだ。

 尾形光琳(1658〜1716)はふしぎな画家です 都のぼんぼんで女たらしで借金まみれで、絵師の仕事もどこまで本気かわかりません けれどもそんな彼の絵が、日本絵画史を転回させた 大雅も応挙も若冲も、光琳がひらいた画境なくしてはありえなかった 天才という言葉ではかたづかない、ひとすじなわではいかない光琳の七色の謎に、多士済々の美術史家10人が、本気でせまる大特集です 

 「都のぼんぼん」「女たらし」「借金まみれ」「絵師の仕事もどこまで本気かわかりません」。ううむ。これはマーマレードの苦味ではなく、金柑の香りと苦味の強さにどことなく似ている???