ジャ・ジャンクー監督の『一瞬の夢』

ツマグロヒョウモン

 蝶が花の蜜を吸うところを観察する。調べると蝶はツマグロヒョウモンの雌のようだ。
 熱帯夜が去って朝晩が涼しくなる。このところニガウリを毎朝収穫する。
 蕪村の句に、「温泉(ゆ)の底に我足(わがあし)見ゆる今朝(けさ)の秋」。
 昨夜、NHK教育テレビの「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」で、『永井荷風「お一人さま」の天才』の第3回を観た。タイトルは「生涯の遊歩人」。
 今回の案内人は坂崎重盛氏で、千葉県市川市と戦後荷風の通った浅草の料理店を訪れ、荷風を偲びながら語ってゆく。「断腸亭日乗」の日記や「日和下駄」からの引用を交えて番組が作られていた。飄々とした坂崎氏の案内がよかった。
 「断腸亭日乗」の昭和二十年の八月、岡山県の津山近辺に疎開している谷崎潤一郎荷風が会いに行くところがあるが、この当時の場面や心境などを辿るという番組があると面白いかもしれない。
 坂崎氏の仕事場の瓢箪(ひょうたん)のコレクションなども見れた。珍品コレクションだ。
 参照:「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200808/tuesday.html

 
 「アジアの俊英 アピチャッポンとジャ・ジャンクー」の二人の監督の特集が、20日から映像文化ライブラリーで始まった。
 夕方から、ジャ・ジャンクー監督の『一瞬の夢』(1998年、中国、108分、カラー)を観た。
 近代化の進む中国の地方都市で、農村から出てきてスリで日銭を稼いでいる青年のウーの日常を描いている。カラオケ・バーに勤めるメイメイとの出会いと夢と過酷な現実とのもどかしい葛藤を描いていて、秀逸な作品だった。
 ジャ・ジャンクー監督の『長江哀歌』を二月に観て身震いしたのだったが、『一瞬の夢』はジャンクー監督のデビュー作という。