「畑耕一文学資料展」雑感2

 小さな蝶を見つける。若葉にとまっていた。
 一センチ半ほどの小さな蝶だった。調べると、ツバメシジミのようだ。

シジミチョウ科のチョウ。翅(はね)は瑠璃(るり)色で黒く縁どられ、後ろ翅には尾状突起がある。  『大辞泉

 目を凝らして見ると、蝶の後ろ翅に尾のような突起がみられます。
 ツバメの尾の形に似ています。ツバメシジミとは、言い得て妙ですね。

 
  『日曜報知』昭和7年(1932年)1月3日、10日号

 6月、「畑耕一文学資料展」が開催されていて、その展示資料の写真や雑誌・本など資料を見ていくと、畑耕一は松竹キネマ(蒲田撮影所)で製作された映画の原作者であった。
 野村芳亭監督が、畑耕一の原作を映画化したものに、以下の作品がある。

 昭和2年(1927年)9月公開、野村芳亭監督・吉田百助脚本・映画『毒唇』(出演・岩田祐吉、岡田宗太郎、松井千枝子、八雲恵美子、他)。

 昭和3年(1928年)7月公開、野村芳亭監督・村上徳三郎脚本・映画『棘の楽園』(出演・岩田祐吉、奈良真養、栗島すみ子、川田芳子、他)。

 昭和7年 (1932年)11月公開、野村芳亭監督・柳井隆雄脚本・映画『女性の切札』(出演・高田浩吉及川道子井上雪子岡田嘉子、他)。
 
 なかでも、昭和7年(1932年)11月公開の『女性の切札』の出演に、及川道子岡田嘉子という女優の名が見えるのに注目する。
 畑耕一の小説、『女性の切札』の掲載された雑誌『日曜報知』昭和7年(1932年)、1月3日、10日号が展示されていた。
 余談ですが、野村芳亭監督のご子息が、野村芳太郎監督です。