映画『青の稲妻』

 ジャ・ジャンクー監督の映画『青の稲妻』(2002年、中国・日本・韓国・フランス、112分、カラー)を映像文化ライブラリーで観た。観客は20人ほど。
 原題は「任逍遥」。
 冒頭、オートバイで街中を駆ける若者の姿から始まる。このシーンは長くつづく。
 舞台は山西省の大同という地方都市で、高速道路が造られつつある。テレビのニュースでは、オリンピックの開催が北京に決定したと放送している。そういう年の地方都市に生きる二人、シャオジイとビンビンという19歳の若者を描いている。
 二人とも仕事を辞めて無職であるが、モンゴル王酒というアルコール飲料の宣伝ダンサーにシャオジイが恋する。
 ビンビンは母から軍隊にでも入ったらと言われて、入隊検査をするが不合格になる。
 ちょうど、母の勤めていた工場が早期退職で大金が入ることになった。そのお金でDVDの販売の商売をやり始めるが、シャオジイのもっとデッカイことをしようぜ、という言葉に乗ってビンビンはある犯罪を犯してしまうことになるのだ。
 映画の終わりに、シャオジイはビンビンを残してオートバイで、高速道路を駆ける。このシーンも長くつづくのだった。
 ジャ・ジャンクーの映画を見つづけているうちに、彼が中国の変わりゆく時をクロニクル風に映画に残しておこうとしているような気がしてならなかった。
 ビンビンがDVDを売り歩いている時に、あつかっている商品がジャ・ジャンクーの『一瞬の夢』や『プラットホーム』だったのには苦笑。