白水社のメルマガで、市之瀬敦「クレオール語をはじめて聞いた町から」
http://www.hakusuisha.co.jp/essay/coimbra.htmlを興味深く読んでいる。
「ポルトガル映画祭2010」が開催されているが、魅力的な映画の数々を見ることができる貴重な機会なので出来るだけ観たい。日本初公開の作品も含まれている。
それはさて置き、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の映画『カニバイシュ』(1988年、101分、カラー)が面白かった。
プログラムに、《タイトルが予告する驚愕の食人場面へ。人間と動物、人間と機械、見せかけと本質・・・・・・。ヴァイオリンの調べに乗ってあらゆる境界が軽々と侵される。》
劇中劇のオペラというか、歌による言葉の格闘とでも呼びたい緊張を孕(はら)んだドラマ。その緊張がついに食人場面に至り、クライマックスから一転しての人間が豚や狼に変身する場面の転換がドラマの関節はずし、その可笑しさに笑った。