杉江敏男監督の映画『ジャンケン娘』

ジャンケン娘

 今月の9日、映像文化ライブラリーで「特集・音楽映画への招待」の一本、杉江敏男監督の映画『ジャンケン娘』(1955年、東宝、92分、カラー)が上映された。
 館内は満席。
 プログラムに、
 美空ひばり江利チエミ雪村いづみの3人娘が、この作品で初顔合わせ。雪村扮する舞妓・雛菊の恋を成就させようとひばりとチエミの2人が奮闘する。3人の歌と踊りをふんだんに取り入れたミュージカル調の作品。 
 映画は、京都、東京、伊豆を舞台にしたミュージカル風のラブ・コメディ。カラー映画でスクリーンで見ると、色彩もきれいで驚くほど鮮明である。
 東京の高校生の美空ひばり江利チエミの同級生二人組、そして京都の舞妓・雛菊の雪村いづみ、この三人娘が主演で、美空ひばりの母親を浪花千栄子江利チエミの母親を南美江 、舞妓(雪村いづみ)の置屋の女将(沢村貞子)らが、脇役として味のある演技を見せている。 
 「ジャンケン娘」が、こんなに面白い映画だったとは!
 笑わせて、しかも明るく三人娘の美空ひばり江利チエミ雪村いづみが、歌い踊るシーンが素晴らしいのだ。
 冒頭、京都を修学旅行している高校生の修学旅行。美空ひばり江利チエミの高校生が神社仏閣ばかりをめぐるのに飽きてきている。 
 川の土手で、時代劇のロケのシーンがあって、修学旅行の高校生たちが見ようと駆け寄って行く。それを止めようとする引率の先生らと生徒達の行動が起こすトラブルの滑稽な場面あり。館内は笑いにつつまれる。
 このロケのシーンに、実は『ジャンケン娘』の監督である杉江敏男監督自身が、登場している。このロケの時代劇を監督している監督役で本人が出演しているのだ。
 映画の細部に遊び心があり、小道具の使い方が上手い。
 たとえば、京都の舞妓の雛菊(雪村いづみ)が、上京して来るのに持ってきたスーツケースに雑誌『平凡』を入れている。雛菊の愛読月刊雑誌。当時の人気雑誌。 
 ラストは、ジェットコースターに乗った「おてんば娘が三人そろって、ジャンケンポン!」と手を振る。ジャンケンポン、あいこでしょ