映画『風流深川唄』

風流深川唄

 19日、「日本映画 スター・ベスト30」の特集から、山村聰監督の映画『風流深川唄』(1960年、東映、87分、カラー)を観る。
 出演は美空ひばり鶴田浩二杉村春子山田五十鈴
 10月プログラムより引用。

 

蟹工船」「黒い潮」などで監督にも進出した山村聰がメガフォンをとった作品。深川名物の老舗・割烹"深川亭"では、父に代わって店を取り仕切る娘のおせつ(美空ひばり)を、板前の長蔵(鶴田浩二)が支えていた。2人は将来を誓いながらも、店の暖簾を守るために別れる運命に・・・。

 
 原作が川口松太郎である。おせつの父・伊三郎(伊志井寛)は、昔老舗である料亭が差し押さえられた時に、ポーンと大金を出して救ってくれた代議士の太田(山村聰)へ義理があった。
 今度は太田から頼まれて借金の保証人になっていた伊三郎は、抵当の料亭を差し押さえられた。
 親族会議で伊三郎は責められ、大金をポーンと出してくれ借金の肩代わりを引き受けてくれる商家の若旦那に娘のおせつを嫁にやるという条件をしぶしぶ承知したのだった。
 おせつもやむを得ず承知して商家の若旦那のところへ嫁入りするのだったが・・・。
 おせつの父・伊三郎の本心は、山田五十鈴常磐津の師匠が勧める板前の長蔵(鶴田浩二)と娘のおせつ(美空ひばり)とを夫婦(めおと)にし、老舗料亭のあとを継がせようと思っていた。
 嫁入りの行列が進んで行く。大勢の人々が行列を見にごった返している。
 長蔵(鶴田浩二)がおせつの嫁入りの日、行列を探して一目逢おうと駆けてゆく。
 常磐津の師匠の山田五十鈴も行列の後を追った。
 長蔵の母親を杉村春子が演じる。
 長蔵の板前修業時代の師匠を宮口精二が、他に、脇役に吉川満子が出演している。
 美空ひばり鶴田浩二の主演だが、伊志井寛杉村春子山田五十鈴宮口精二らの脇役陣が、義理と人情の機微を好演している。
 義理と人情といえば、川口松太郎の「紅梅振袖」で職人・友次郎の話を思い出した。
 この短篇小説も印象深い作品だ。