フレデリック・ワイズマン監督の『パリ・オペラ座のすべて』

パリ・オペラ座のすべて

 10日、シネマテーク・プロジェクトの第4弾、「フレデリック・ワイズマンのすべて」の一本。
 フレデリック・ワイズマン監督の映画『パリ・オペラ座のすべて』(2009年、155分、カラー)を観る。原題はLa Danse。
 2009年10月に日本公開上映されている。この映画の予告編は見ていたが見逃していた。
 今回の上映はありがたい。
 カタログによると、撮影は2007年秋冬のバレーシーズンに84日間にわたってなされ、2009年9月のヴェネチア映画祭で初上映された。
 華々しいステージの上のダンサーの練習風景だけでなく、パリ・オペラ座のある建物の内部に働く人々の舞台裏を映してゆく。
 衣裳係、照明係、舞台美術、演奏家・・・。
 ベテランのダンサーの年金や定年(定年が40歳)問題などのバレエ団の実情が、芸術監督らによって団員に明かされる。伝統を継承していく意義を語り、使命感などを団員に求めている。
 後半では、「くるみ割り人形」のような古典とコンテンポラリーな作品とを上演しているのを撮影していて、その素晴らしい舞台にとても魅了された。 

 印象的な光景をひとつあげると、オペラ座の屋上に蜜蜂を飼っていて、巣箱から蜂蜜を採取する場面があった。
 眼下にパリの街並みが俯瞰される屋上で、蜂と人の交流する一場面である。
 見ていて、『アメリ』という映画でパリで蜜蜂を飼っているシーンがあったのを思い出した。