月の夜の落栗拾ひ尽しけり

 
 川を渡っていると、静かな水面から魚がぴよーんと大気中へ飛び出して来た。水面でぴよーん、ぴよーんと三段跳びする光景に驚く。他の通行人も突然の魚の出現に呆気にとられていた。
 朝晩は肌寒かった。最低気温17℃、最高気温27℃。まだ昼は夏日である。
 「月の夜の落栗拾ひ尽しけり
 大正十年の芥川龍之介の句である。前書きに、「井月の句集成る」とある。
 同じく大正十年の句に、「井月(せいげつ)ぢや酒もて参れ鮎の鮨」。