溝口健二監督の映画「浪華悲歌」と関西弁

 今月の映像文化ライブラリーの特集が「生誕100年山田五十鈴特集」である。
 1930(昭和5)年に銀幕にデビューし、名だたる巨匠の作品に出演して日本映画を支え、舞台にテレビにと幅広く活躍した山田五十鈴(1917ー2012)。その生誕100年にちなんで、「生誕100年山田五十鈴特集」を開催します。今回の特集では、見事なコメディエンヌぶりを見せた「或る夜の殿様」、芸者置屋の女将に扮して、田中絹代高峰秀子杉村春子らと演技を競う「流れる」、黒澤明監督に起用され悪女役で存在感を際立たせた「蜘蛛巣城」「どん底」「用心棒」などを上映します。この機会に、女優・山田五十鈴が輝きを放った名編の数々をご鑑賞ください。  (特集パンフレットより)

 溝口健二監督の映画「浪華悲歌」(1936年、第一映画、71分、白黒、35ミリ)を鑑賞。観客は50人ほど。
 出演、山田五十鈴、梅村蓉子、志賀廼家弁慶、進藤英太郎

 

依田義賢がシナリオを書き、後に数々の名編を生む溝口・依田コンビが誕生した作品。大阪の薬問屋に勤めるアヤ子は、父や兄のために転落を余儀なくされる。不幸な運命に翻弄されながらも、それに屈せずに生きていくヒロインを山田五十鈴が気迫を込めて演じる。

 溝口健二監督戦前の代表作「浪華悲歌」と「祇園の姉妹」でシナリオを書いた依田義賢が、昭和三十一年(1956年)刊の『時代映画』7月号の座談会の多田道太郎依田義賢の談話で、当時の観客からの反応を語っている。
 関西弁というものを初めてシリアスなものとして使ったというわけなんです、と語っている。
 参照:http://d.hatena.ne.jp/kurisu2/20140410