「新鋭文学叢書」の広告2

 全身が赤いトンボ。しわくちゃになった蓮の葉にとまっている。ショウジョウトンボで、とまる位置はいつも同じ場所を好むようだ。
 翅(はね)は透明である。とまるとそのまま動かない。

 

トンボ科の昆虫。雄は全体に鮮やかな赤色、雌は橙(だいだい)色。夏、池沼に普通に見られる。本州以南、アジア東部の熱帯に広く分布。  『大辞泉

 改造社発行の「子規全集」第四巻の昭和五年(1930年)八月十日発行の配本付録「子規研究」のチラシに広告がある。
 折りたたみB6サイズで、「新鋭文学叢書」の広告は次のような文面である。(旧字は新字にて)


 各冊三十銭(送料六銭) 各冊平均約二百五十頁
 現文壇に清新溌溂の意気を示す各派新鋭作家の全陣容だ! 果然、此の疾風的売行!! 澎湃たる大衆のかかる支持は本叢書の真価を裏付けるもの。装幀の新しき典雅、我社ならでは成し得ぬ此の絶対廉価、正に叢書界空前の窮極廉価版!*1

*1:注記:澎湃=ほうはい、ものごとが盛んに起こる様子。