千葉伸夫著『原節子』(大和書房)を読む。
副題が「映画女優の昭和」。
帯に、
初の本格的評伝
原節子の魅力を
余すところなく
描き出す。
伝説の女優、
誕生から
引退の謎、
その全貌!
《(前略)ナチとの合作「新しき土」、若き天才山中貞雄の「河内山宗俊」、そして、小津安二郎との運命的な出会い、激動の昭和史、日本映画の盛衰とともに歩んだ原節子はどのようにして生まれ、何を演じ、なぜ引退したのかを、具体的な作品・発言をもとに解き明かす。》
巻末に、原節子年譜、原節子作品リストが収録されている。
原節子の出演した映画をめぐり縦横に論じて飽きさせない評伝である。
李香蘭と原節子は同じ年に生まれている。
李香蘭と原節子の映画人生を横断的に論じる箇所があり、面白い。
ドイツとの合作映画「新しき土」の監督の一人、伊丹万作についての話も読ませる。
山中貞雄の「河内山宗俊」のヒロイン甘酒売りの少女お浪の原節子をめぐる当時の映画界の様子などとても興味深い。
余談ですが、千葉伸夫さんは、『映画と谷崎』(青蛙房)という本で、「最初の映画青年」であった谷崎潤一郎について書いています。映画がサイレントからトーキーへと移り行く時期に映画製作に関わった谷崎潤一郎を綿密に調べているのですが、映画青年・谷崎潤一郎を知るには必読の本だと思います。

- 作者: 千葉伸夫
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 1987/11
- メディア: 単行本
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