別盃の酔の尾かすか夜半の虫

ノグルミの実

 街路樹のノグルミ(野胡桃)の実が色濃く茶褐色になっている。
 表面を一寸(ちょっと)触ってみると硬くハリネズミのような棘(とげ)だ。
 

 クルミ科の落葉高木。日当たりのよい山地に生え、高さ一〇メートル。葉は長楕円形で羽状複葉。六、七月ごろ、黄色の花穂が集まって直立してつく。実は染料に用いる。 『大辞泉


 「絶壁の端の鶏頭の朝日燃ゆ
 「勉強は第一課より昼の虫
 「両岸の無言の群集秋の水
 「別盃の酔の尾かすか夜半の虫
 「やゝ寒の壁に耶蘇の像
 
 中村草田男の昭和十七年(1942年)の俳句で、「けがれしとけがれざると」の前書きのある二十四句からの五句です。