胸中の凩咳となりにけり

 文春文庫で『マスク』というスペイン風邪をめぐる菊池寛の小説を読みました。解説が辻仁成。1920年、文芸誌「改造」に発表される。菊池寛記念館でもダウンロードで、小説「マスク」は読めるようです。

 参照:mask.pdf (city.takamatsu.kagawa.jp)

    菊池寛もマスクで予防 高松、記念館で特別展示 スペイン風邪題材に作品 | COOL KAGAWA | 四国新聞社が提供する香川の観光情報サイト

 当時の芥川龍之介の俳句にスペイン風邪をうかがわせる句はないだろうか。龍之介の俳句を調べることにした。

 大正八年(1919年)の俳句に、「胸中の凩咳となりにけり」という句がある。凩(こがらし)は、秋の末から冬の初めにかけて吹く強く冷たい風であるので、この時期に詠んだ句ではなかろうか。

 前書きが付いていて、「三汀の病を問ふ我亦時に病床にあり」とあります。三汀は、久米正雄の俳号ですね。

マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫)

マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫)

  • 作者:寛, 菊池
  • 発売日: 2020/12/08
  • メディア: 文庫