鵯は花食ひをり我は煎餅を

 先日、桜の開花宣言が出た。例年より早かった。春は着実に進んでいる。散歩の途中、鮮やかな赤い花で、ボケの花が見ごろを迎えていた。立ち止まって撮影や観察をする。ボケの木に灰色の一羽の鳥が花をつついていた。花の蜜(みつ)を食しているようだった。近づくと、灰色の鳥は動きを止めた。すぐに飛び立つことはせず、あたりの気配を観察している様子だ。数分間、動かなかったがいつの間にか飛び去っていた。後で調べるとヒヨドリであった。

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 「鵯は花食ひをり我は煎餅を」(森澄雄
 この句は、鵯(ヒヨドリ)と我を対比している作者の食い意地になにやら可笑(おか)しみがある。