『ジャック・リヴェット 夜警』

 映画/批評月間 フランス映画の現在 vol.3、マルコス・ウザル(カイエ・デュ・シネマ)によるセレクションからの一本、『ジャック・リヴェット 夜警』(1990年)を観る。クレール・ドゥ二、セルジュ・ダネーが監督。ビデオ映像から変換したもの。

 《ジャック・リヴェットが、『カイエ・デュ・シネマ』で編集長を務めた時代からの仲間で、信頼を置く映画批評家セルジュ・ダネーと共に、かつて撮影したパリのいくつかの場所を訪れる。顔を撮ること、身体を撮ることとは、セクシュアリティーとは、ヌーヴェルヴァーグとは、孤独であるとは、そして映画とは、昼から夜へ、移動から静止へ、2人から豊かな言葉が流れていく。》(パンフレットより)

 7日、ジャック・リヴェット監督の映画『パリはわれらのもの』(1961年)を観る。この映画は1958年に撮影が開始され完成までに2年を要したという。「パリは誰のものでもない」という言葉ではじまる。 

 『ジャック・リヴェット 夜警』(1990年)は、セルジュ・ダネージャック・リヴェットと共にパリでリヴェットの映画でかつて撮影した土地を二人で巡りながら彼の生い立ちや映画についてどのような気持ちで撮って来たのか、過去の映画について、現在の心境などをインタヴューしていて興味深く観ました。物静かで、一語一語かみしめるように語るジャック・リヴェットの顔の表情が印象的でした。ジャック・リヴェットの映画の引用があり、インタヴューをより効果的にしていました。ジャン・フォートリエの顔の絵が話題になっていました。フリッツ・ラングムルナウ以前、1915年~1920年の映画についても触れていました。映画は言語ではない、という。ポール・ヴェッキアリの『ワンス・モア』にも触れていました。
 今回の「映画/批評月間 フランス映画の現在 vol.3」に、「ジャン=フランソワ・ステヴナン特集 :逃走の悦楽」があって、ジャン=フランソワ・ステヴナン監督の3本の映画とパトリシア・マズィ監督『走り来る男』にジャン=フランソワ・ステヴナンが出演しています。『ジャック・リヴェット 夜警』に、リヴェット作品に出演したことのあるステヴナンがパリの街角にオートバイでやって来てヘルメットを脱いでジャック・リヴェットとの映画作りについて人物評などを語っているのは良かった。