新緑のきれいな季節。散歩の途中、ツツジやタンポポの花をあちこちに見つけた。立ち止まって花を観る。ふわふわした白い綿帽子は風が吹くと今にも空へ舞い上がりそうだ。ツツジの花に蜜蜂を見つけた。
「照影も殊に故郷の花の蔭」
「山櫻かざしし馬車をまた抜きし」
「たんぽぽや忽ち蜂の影よぎり」
「たんぽぽの花には花の風生れ」
中村汀女の俳句で、昭和二十一年(1946年)の句です。
この四句の前に、《「阿蘇」主催水竹居忌に参ず》の前書きがある。
汀女はこの年、三月、熊本へ帰郷する。月餘滞在。