枯るるは枯れ青きは青き草小春

 サザンカ山茶花)の花が咲き、初冬の日の光を浴びている。紅い花びらが鮮やかだ。

f:id:kurisu2:20191213162255j:plain

 「濃紅葉をさしはさみけり薮の家」

 「崖紅葉濃ゆきにひたと御堂あり」

 「黒ずみて強き紅葉や紅葉中」

 「枯るるは枯れ青きは青き草小春」

 松本たかしの昭和十二年(1937年)の俳句で、「鎌倉十二所 四句」という前書きがある。

 四句目の「枯るるは枯れ青きは青き草小春」の句は、小春という冬の季語があるので、鎌倉の十二所を立冬が過ぎて春のようなあたたかい日に詠んだ句であろうか。

手の薔薇に蜂来れば我王の如し

f:id:kurisu2:20191208151043j:plain

 公園に黄色いバラが咲いていた。風に吹かれてゆれている。立ち見の人の目がバラにそそがれている。

バラ科バラ属の低木の総称。特に、観賞用に改良された園芸品種。枝にとげがあり、蔓(つる)状となるものもある。葉は羽状複葉。萼(がく)・花びらとも五枚が基本で、重弁もある。花は香りが強く、咲く形から抱え咲き・剣弁咲き・高芯咲き・平咲きなどとよぶ。色は紅・赤・黄色などさまざまあるが、青色はない。主に北半球の温帯・冷帯に分布。バラ科双子葉植物にはバラ属のほかサクラ属・シモツケ属・ナシ属など約100属が含まれ、約2000種が世界各地に分布。ローズ。いばら。しょうび。そうび。  『大辞泉

 大辞泉の引用句は、「手の薔薇に蜂来れば我王の如し」(中村草田男

 

 毎日新聞の「今週の本棚」で、書評執筆者が選ぶ「2019 この3冊上」を見ました。

 書評執筆者では、井波律子、鹿島茂川本三郎の各氏の「この3冊」に注目。

 井波律子氏の選んだ一冊が、『湯けむり行脚 池内紀の温泉全書』(山川出版社)でした。《やすらぎと心身の解放を求める温泉行脚の醍醐味(だいごみ)を、情感ゆたかに綴(つづ)った秀作である。》

 鹿島茂氏の選んだ三冊は、

 『古本屋散策』小田光雄論創社

 『江藤淳は甦(よみが)える』平山周吉(新潮社)

 『パリ左岸 1940―50年』アニエス・ポワリエ(白水社

 川本三郎氏は、『ヒトラーの時代』池内紀中央公論新社)、『74歳の日記』メイ・サートンみすず書房)を選んでいました。《変わらぬ一人暮らしの豊かな孤独に魅了される。》

 

PR誌から

 新潮社のPR誌「波」12月号の筒井康隆の「南蛮狭隘族」、川本三郎荷風の昭和」第十九回・荒川放水路のほうへ、などを読んだ。

 昭和六、七年ごろ荷風がよく足を運んだ場所、荒川放水路をめぐる荷風の随筆を参照しながら川本三郎さんの描く文学散歩がとても興味深い。

 荒川放水路の風景に心惹かれた荷風の『断腸亭日乗』を小津安二郎が読んでいて『東京物語』に堀切橋付近の荒川土手を登場させたのではないか、と述べている。

 雑誌「望星」12月号の「平川克美責任編集——映画について私が語ること」という特集記事の対談、映画は「寄り道」が楽しい(川本三郎)でも語られています。

http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/pdf/1912_toku2.pdf

鴨向きをかへてかはしぬ蘆の風

f:id:kurisu2:20191129161719j:plain


 

 水辺にカルガモの群れが見られる。ゆるやかな動きで水面を移動していた。ヒドリガモより少し大きく見える。

カモ科の鳥。全長約六〇センチ。全体に黒褐色で、くちばしの先が黄色く、雌雄同色。東アジアに分布し、日本では留鳥で、川や池沼にすみ、都市公園でも繁殖している。なつがも。  『大辞泉

 

 「水鳥の争ひ搏ちし羽音かな」

 「鴨向きをかへてかはしぬ蘆の風」

 松本たかしの俳句です。 

 

 「一冊の本」12月号の新刊案内に長嶋有の『俳句は入門できる』という新書を目にしました。その紹介文から、一部引用。

《なぜ、俳句は大のオトナを変えるのか!?  俳句でしかたどりつけない人生の深淵を見に行こう。》

 

俳句は入門できる (朝日新書)

俳句は入門できる (朝日新書)

 

 

 

 

 

『海老坂武のかんたんフランス料理』を読む

f:id:kurisu2:20191127155339j:plain

 サザンカ山茶花)の白い花が咲きだした。咲き始めです。

ツバキ科の常緑小高木。九州・四国の山地に自生。葉は楕円形で両端がとがる。晩秋のころ白い花をつけ、散るときは花びらがばらばらに落ちる。種子から油をとり、材で器物を作る。園芸・観賞用としても栽培され、赤花・八重咲きなどの品種がある。  『大辞泉

 「山茶花の散りつづきたるそこらまで」

 松本たかしの俳句です。

 

 編集グループSUREの新刊本で、『海老坂武のかんたんフランス料理』を読んでいます。

 《ふとした集まりがきっかけとなって、このような本を出す破目になった。》と「あとがき」にあるように、この本はフランス料理のレシピ集であり、もうひとつ、自宅の台所で料理をつくり、出来上がった料理を食べながらの黒川創さんらによる質問に海老坂武さんが答えるというライブ感あふれる談話を構成した本の作りになっています。読者は海老坂さんと共に料理と食事をしている風な読書感を持つでしょう。

 料理のレシピは、「本書の利用にあたって」の説明にあるように、お客さまを迎えておもてなしする際のパーティレシピです。

 タイのソース・ブランをメインにした献立

 ポテをメインにした献立

 タラのベシャメルソース・グラタンをメインにした献立

 牛頬肉の赤ワイン煮込みをメインにした献立

 

 かんたんフランス料理の実用書でありますが、それぞれの献立の料理の際の談話が興味を持って読める構成になっています。

 目次の「おはなし」から引用すると、

 「ぼくの料理の歴史をお話ししますよ」

 留学生として「フランス料理」を初めて食べたころ

 サルトルって、どういう人か

 八〇代でも、体を鍛えることが好き

 野球少年としてジョー・ディマジオに会ったころ

 以上、興味のおもむくまま海老坂武さんの「おはなし」が聞けます。

 

 一部引用すると、

 料理は手順がいちばん大事

黒川 海老坂さんは、作家の山田稔さんとは、パリでの留学時代は全然重ならないんですか?

海老坂 山田稔さんは、ぼくより三つ、四つ年上でしょう? 留学時代は重なってないね。京都で二、三度会ったかな。  27~28ページ

www.groupsure.net

流れゆく紅葉も見ゆれ月の淵

f:id:kurisu2:20191123154822j:plain


 小春日和で暖かい。最高気温22℃。朝晩は冷え込む。最低気温9℃。

 茶畑に茶の花が咲いていた。白い花びらが五枚で丸みがあり、葉につやがある。

ツバキ科の常緑低木。暖地に自生。葉は長楕円形で厚みがある。秋、白い五弁花を開く。原産地は中国の四川・雲南・貴州などの霧の多い山岳地方。若葉を緑茶などとするため広く栽培され、延暦二四年(八〇五)に最澄が中国から種子を持ち帰り栽培したのが始まりという。日本では五月ごろから八、九月ごろまで三、四回摘む。ちゃのき。めざましぐさ。  『大辞泉

 「嶺の雪に月照りそめぬ夕紅葉」

 「淵に降る紅葉も見ゆる月夜かな」

 「流れゆく紅葉も見ゆれ月の淵」

 松本たかしの昭和十二年(1937年)の十一月の俳句で、「十五日水上温泉」の前書きがある。

映画は「寄り道」が楽しい

 晴れた空の下、北風が強い。最高気温は14℃。最低気温が9℃。

 オレンジ色の花が風に吹かれてゆれていた。キバナコスモス(黄花コスモス)の花で鮮やかだ。コスモスに似ている。四〇から六〇センチの高さがある。

f:id:kurisu2:20191120154710j:plain

 雑誌「望星」12月号に、「平川克美責任編集——映画について私が語ること」という特集記事を目にした。対談の立ち読みコーナーがあるので、一部が読める。

 映画は「寄り道」が楽しい(川本三郎

 忘れられない映画たち(関川夏央) 

http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/pdf/1912_toku2.pdf

 

 http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/pdf/1912_toku.pdf