メダカと雑誌の黄金時代

ハスの池

 蝉の鳴き声が以前より静かになった。街路樹の幹にアブラゼミを見かける。
 夏至のころから生きものを観察している公園の池へ、寄り道した。
 ハスの葉が伸びて成長していた。睡蓮は、くたびれたようになっていた。睡蓮のつぼみが水中にひとつあった。
 その睡蓮の葉の間に見える水面は、おどろくほど透明な水で空が映っていた。おや、動くものがいる。メダカの群れが泳いでいた。スイスイと泳いでいる。人の気配を察するとメダカの群れは、睡蓮の葉の下へ逃げ隠れてしまう。
もう一つ気づいたことは、あれほど見かけた蛙を見かけなかったことだ。なぜだろう?
 池の縁をぐるりと歩いてまわって見たのだが、一匹もいなかった。気温は昼間は30度を超えている。月は満月になるころだ。
 
 ユリイカ2005年8月号は、「特集・雑誌の黄金時代」。
 四方田犬彦坪内祐三の対談「雑文家渡世」でお二人がそれぞれの雑誌の原イメージはどのあたりですかと、質問しながら語るあたりが面白い。
 ガロで四方田犬彦の「犬も歩けば」の連載は読んでいたなあ。
 『パイデイア』(竹内書店)も買ったね。装丁が良かった。
 のちに、安原顯が『パイデイア』の編集をしていたことを知って驚いた。

 四方田 筆者はひとつのことだけ深く知っていればいいけれど、編集者はバランス感覚を持って、山口昌男ばりに幅広くいろんな知識がなくてはならない。ところが先日、某大手出版社の雑誌編集者が来て、「先生、最近韓国ブームですけど、韓国とか行かれたことはありますか?」って言うから、「ええ、まあ」って(笑)。やる気をなくしました、しかも文芸誌ですよ。  42頁